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新聞社辞め、「無職」になったスーパーマン 米メディアからさっそく「雇います」ラブコール

   アメリカの人気コミック「スーパーマン」の主人公で、記者として活躍するクラーク・ケントが、長年勤めた新聞社「デイリー・プラネット」を退社した。

   今後は新たなネットメディアを創りだしていくとの見方も有力で、米メディアから早くも「ラブコール」がかかっている。

「ジャーナリズムがエンターテイメントに成り下がった」

   「スーパーマン」の現在の作者スコット・ロブデル氏がUSA TODAY紙(2012年10月22日付)に明かしたころによると、クラーク・ケントはデイリー・プラネットを退社する。勤務先が同社と明かされた1940年から数えて、勤続は72年に及んだ。

   退社の理由は「ジャーナリズムがエンターテイメントに成り下がった」ためという。いまやマルチメディア企業・ギャラクシー放送の一部門となってしまったデイリー・プラネットで、スクープだけを追求する編集長に責められたケントが、スタッフ全員に悪罵を投げつけて辞職する、という筋書きだそうだ。24日にアメリカで発売されたDCコミック社の雑誌「The New 52」でその一部始終が書かれたという。「巨大なコングロマリッドで不本意な指示に従わなければいけない人にとっては、本当にあることだ」とロブデル氏は話す。

   ケントは今後、インターネットやラジオ、テレビを使い、「ありのままの真実」を語るという。スーパーマンは一体、何をしようとしているのか。

   有力なのは、ブロガーとして、「ハフィントンポスト」や「ドラッジレポート」のような新たなメディアを創るという見方だ。これらはいずれも、紙媒体を持たないアメリカのインターネット「新聞」だ。

   72年も勤めた大ベテランの新聞記者で、しかも「スーパーマン」となれば、ネットメディアにとって非常に魅力的な人材なのは間違いない。米ソーシャルメディア情報サイト「マッシャブル」では、さっそく23日の記事で「ケントさん、雇いますよ」と採用ページへのリンクを掲載し、ラブコールを送った。

実はテレビキャスター経験あり

   日米のネットは、驚きとともにスーパーマン退職のニュースを受け止めた。日本では「スーパーマン無職に」などという文字が飛び交った。ジャーナリストとして活動する佐々木俊尚さんも24日、ツイッターで「ブロガーとして広告収入を確保するためには新聞以上にエンタメに振らないとページビューの数が得られないことに気づいて苦悩する」と、先行きを心配した。

   実は、スーパーマンが転身するのは今回が初めてではない。一時ギャラクシー系列のテレビでニュースキャスターとして働いたこともある。「スーパーマン」は1938年の連載開始以来、アメリカン・コミックス初の「スーパーヒーロー」として「現代アメリカ」を表現してきたこともあって、米国では今回の退職に紙媒体の衰退を見て、「これも時代か」とつぶやく人もいた。

   ちなみに、2013年に公開を控えるスーパーマンを主人公とした映画「マン・オブ・スティール」(ザック・スナイダー監督)では、新聞記者でもブロガーでもなく、なぜか漁師のような格好で荒々しい海に漕ぎ出す姿も公開されている。職を転々とするスーパーマンの今後に、ますます注目が集まりそうだ。