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「大リーグ行ってもみじめに帰ってくるだけ」 張本氏「メジャー宣言」選手をバッサリ

   プロ野球選手の大リーグ挑戦が、今年も話題だ。阪神タイガースの守護神、藤川球児投手らが「海外フリーエージェント(FA)権」を行使し、大リーグ入りを目指すと表明した。

   ここ数年、大リーグに移籍する日本人選手は後を絶たないが、全員が成功を収めているとは必ずしも言えない。野球評論家の張本勲氏はテレビ番組で「やめた方がいい」「みじめに帰ってくるだけ」と切り捨てた。

年俸は日本時代の3分の1に落ち込む

   藤川投手のほかにも北海道日本ハムファイターズの田中賢介選手が大リーグ挑戦を宣言、埼玉西武ライオンズの中島裕之選手も海外FA権の行使を所属球団に伝えたという。中島選手は昨年、ポスティング制度を利用して一度はニューヨーク・ヤンキースに落札されながら破談となった経緯がある。

   11月11日放送の「サンデーモーニング」(TBS系)では、田中選手の会見映像が流れた。「4年前からメジャーに興味を持っていた」と明かし、思いがこみ上げたのか涙ぐむ一幕もあった。だが番組に出演した張本氏は「また行くの。やめた方がいいですね」と否定的だ。続けて「(契約金や年俸など)お金も高くないし、たくさん取れない」と指摘し、「みじめに戻ってくるだけだから」とまで言い切った。

   確かに近年の移籍劇を見ると、金銭面では日本でプレーしていた時と比較して悪条件となるケースが多い。2011年オフに米国に渡った日本人選手の場合、ポスティング制度で日本ハムからテキサス・レンジャースに移籍したダルビッシュ有投手は例外的に高額を手にしたが、同じくポスティングを利用した青木宣親選手(ミルウォーキー・ブルワーズ)は年俸150万ドル(約1億2000万円)で、ヤクルト・スワローズ時代から約3分の1に減った。そのうえ前例のない「入団テスト」まで受けさせられている。

   FAを行使した岩隈久志投手(シアトル・マリナーズ)も年俸150万ドルと言われる。川崎宗則選手に至っては、マリナーズとは当初マイナー契約で60万ドル(約4800万円)とされた。開幕時にメジャー昇格を勝ち取ったが、それでも福岡ソフトバンクホークスで得ていたという2億4000万円には遠く及ばない。日本人選手に対する価値が「暴落」しているとも言えそうだ。

実力不足なのに「メジャー挑戦」に批判している

   「失敗例」もある。2011年に鳴り物入りでミネソタ・ツインズに入団した西岡剛選手は、開幕間もない試合で骨折する不運に見舞われたこともあり、日本時代のような成績は残せなかった。2年目は大半をマイナーで過ごし、浮上できないままシーズン終了後にチームとの契約を解除、帰国した。

   インターネット上では、張本氏の発言に賛否両論だ。大リーグのレベルについて、これまでも懐疑的なコメントや厳しい指摘をしてきた張本氏に対して「いつもながらのメジャー嫌い」と考える人もいる。一方で「残念だがその通り」と認める意見や、十分な実力がないのに大リーグ目指すという選手に対しての批判と見る向きもあった。ダルビッシュ投手移籍の際は「通用しないとは言っていなかった」というわけだ。

   なかでも内野手で苦戦するケースが比較的多い。先述の西岡選手は二塁手と遊撃手を兼ねたが、守備で不振を極めた。同様に2002年にニューヨーク・メッツへ入団した松井稼頭央選手(現・東北楽天ゴールデンイーグルス)も、渡米前はゴールデングラブ賞を受賞するほど守備の達人だったが、メッツでは失策が相次ぎ苦労を重ね、後に放出されている。2007年タンパベイ・レイズに移った岩村明憲選手は、最初の2年間は好成績を収めたものの3年目にけが。以後は打撃がさっぱりだった。来季の大リーグ入りを目指す中島選手、田中選手ともに内野手で、このような壁を越えられるかが焦点となろう。

   一方、藤川投手はこれまでも何度か大リーグ挑戦がささやかれていた。日本球界屈指のリリーフエースに、既にロサンゼルス・ドジャースが興味を示しているという。張本氏とともに「サンデーモーニング」に出演した野球解説者の山田久志氏は「期待している」としつつ、「藤川と言えばストレートだが、今年はやたら変化球が多かった。ストレートに自信がなくなったことの表れか、メジャー入りに向けて変化球を磨いたのか」と気になる様子だった。