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若者をスキー場に呼び戻せるか? JR東日本が6年ぶりにキャンペーン

   スノーレジャーブームの再燃を目指し、JR東日本は2012年12月12日から、6年ぶりにテレビCMによるスキーキャンペーンを展開している。

   ターゲットは、バブル期にはゲレンデの主役だった大学生らの若者世代。経済事情や冬季レジャーの多様化などから、スキー離れがさけばれる学生らを再びスキー場に呼び寄せられるのか。

スキー人口はピークの半分以下、スノボも減少傾向

   「近年のゲレンデで目立つのは若者世代というより、ファミリーやシニア、ミドル層。経済環境の変化などから、若い人たちは長期的に減り続けています」――現場の実感を語るのは新潟県湯沢町のスキー施設の担当者だ。

   苗場スキー場などがある湯沢町には、映画「私をスキーに連れてって」が大ヒットした1987年から90年代初頭のバブル期には首都圏から多くの若者たちが押し寄せた。「スキー場のメッカ」とも称された。JR東日本のスキーキャンペーンの第1弾は1990年のガーラ湯沢スキー場開業に合わせて実施され、現在も町内には12のスキー施設が点在する。

   だが、バブル期の1シーズンの町内スキー客約800万人に対し、2011年~2012年のシーズンは約250万人にまで減った。同協会はその背景として、経済環境とライフスタイルの変化を挙げ、「20数年前は冬季レジャーと言えばスキーでしたが、今はディズニーランドもあるし海外に足を運ぶ人も多い。若者たちの消費性向もパソコンや携帯電話によって様変わりしましたし、厳しい経済状況や少子化傾向も影響しています」。

   若者世代にはスキーウェアや用具、交通費などの費用は大きなネックとされ、バブル期には各大学には多くのスキーサークルがあったが、近年は激減しているという。

   レジャー白書などによると、スキー人気のピークとされる1993年のスキー愛好者は全国1860万人に達したが、16年後の2009年は720万人と半分以下に。スノーボードにしても02年の520万人から減少に転じて09年は420万人だった。

キャッチコピーは「青春は、純白だ。」

   こうした中、JR東日本が6年ぶりに展開するキャンペーンの狙いはスバリ、「若者たちのスキー離れを食い止めること」。

   キャッチコピーは「青春は、純白だ。」。テレビCMには人気モデルの本田翼さんを起用、BGMにはGreeeeNの新曲「雪の音(ゆきのね)」を採用し、若者世代にスノーレジャーの楽しみをアピールする。

「今の若い人にもスキーの楽しさを知ってほしい」
「今の若者は自動車を持っていないため、鉄道を利用してぜひスキー場に」――。

   12日の記者会見の席上、同社の冨田哲郎社長はキャンペーンの狙いをそう語った。平日の日帰りならゴンドラ・リフト券付きで新幹線(東京-ガーラ湯沢駅間)の往復料金が通常の半額となるメニューも新たに設けた。

   冨田社長が言うように、デフレ経済下で成長した「今の若い人」には遠い存在となりつつあるスキー場が、再び若者世代で活気づく日は来るのか。今冬はJR東日本のキャンペーンのほか、全国約130のスキー場が参加して高校卒業後の19歳の若者のリフト代を無料にする「雪マジ!19」プロジェクトなどで、呼び込みを図る。