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SNSから住所特定、大量メール送りつけ… 「サイバーストーカー」恐怖の手口

   メールやSNSを使ってストーカーまがいの行為を働いたり、実際に危害を加えたりする「サイバーストーカー」が、今増えている。

   ストーカー規制法ではメールの大量送信など、インターネットでの行動についての規制がなく、「法の抜け穴」を利用した嫌がらせといえる。巧妙な手口も珍しくなく、被害を未然に防ぐ方法はあるのだろうか。

実際に会ったことがなくてもSNSやブログの顔写真を見て…

   サイバーストーカーとはサイバー犯罪の一種で、①大量にメールを送りつけたりSNSで執拗に交流を図ったりする②匿名掲示板などのウェブサイトに特定の人物の誹謗中傷を書き回る③インターネット上から個人情報を割り出して勤務先や学校に嫌がらせ、実際に家まで出向いて物理的なストーキングに及ぶ、などの行為が挙げられる。

   実際に会ったことがない相手でも、SNSやブログに掲載されていた顔写真を見て恋愛感情を抱き、ストーカー行為に発展してしまう場合や、掲示板などに書き込んだ内容が気に入らないとして最初から恨みの気持ちで嫌がらせを行う場合などが考えられる。

   2012年11月に起きた神奈川県逗子市のストーカー殺人事件では、加害者が「ぜってー殺す。刺し殺す」などと書いたメールを1日80~100件送っていたこと、脅迫容疑で一度逮捕されてからも「婚約不履行」「結婚を約束したのに、ほかの男と結婚した」「慰謝料を払え」といったメールを大量に送りつけていたことが明らかになった。

   さらに加害者はYahoo!知恵袋を使い、「お世話になった人を探しています。住所を特定できる方法はありますか」などとネットユーザーに質問していたと見られている。サイバーストーカーが最悪の事態までエスカレートしてしまった例だ。

   現行のストーカー規制法は大量に電話をかける、ファクスを送りつけることは規制の対象となっているが、メールの大量送信、SNSでの付きまといについては規制されていない。12年11月13日にはそうした行為も規制対象に加える改正案が国会で検討される見通し、と報じられたが、16日に衆議院が解散してしまったため一旦流れてしまっている。

ほとんどのストーカーはネットで情報収集

   ストーカーの悩み、トラブルなどを解決する民間の相談センター「SP解決センター」によると、サイバーストーカーの相談はここ1年で目に見えて増加したという。

   急増の理由は、スマートフォンやSNSの大流行と見ている。スマートフォンを購入した人が気軽にSNSを始め、そこで実名や住所、出身地、勤務先、友人や家族などを書き込んでしまい、付きまといの材料になってしまう。具体的にはFacebookやmixiで個人情報を入手し、ツイッターで行動パターンを把握する、ということが多いそうだ。

   最近は物理的なストーキング行為を働く人のほとんどがインターネットを利用して相手の情報を収集しているため、従来のストーカーとサイバーストーカーの垣根がどんどんなくなってきているという。

   被害者は接客業やナイトワーク関係者など、ネームプレートで名前がわかってしまう職業の人が多い。例えばストーカーが飲食店の店員に恋愛感情を抱き、名札に書かれていた名前で検索するとSNSのページなどが見つかる。これに顔写真を載せていればすぐに特定され、付きまといにつながってしまう。

   自分でできる対策としては、「むやみに個人情報を公開しない」ことに尽きると話す。例えばFacebookでは、身元が割れるような情報は友人までの公開設定にし、無意味に公開しない。写真をアップロードするときは撮影した場所が表示されてしまうので、スマートフォンのカメラのGPS機能をオフにしておく、といった対策をとる必要がある。

   ツイッターでも、今いる地名をツイートしたり、有名なスポットの名前を挙げてツイートしたりといった、具体的な記述は避けるべきだという。とにかく具体的な情報は発信しない、個人情報は限定公開にする、というのが重要だ。