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スピード出ない駐車場でなぜ事故 千野アナ「集中力の欠如」だったのか

   元フジテレビで現在はフリーアナウンサーの千野志麻さんが、運転中に男性をはねて死亡させた。現場は公道ではなく駐車場だった。

   スピードの出しようがない場所でなぜ事故は起きたのか。専門家によると意外な落とし穴があるのだという。

薄暗くなっていたが人影は見える程度

   事故が起きた静岡県沼津市のホテルは、千野アナが家族と滞在していた。2013年1月2日17時ごろ、千野アナ自らSUV車のハンドルを握り、ホテルの駐車スペースを発車して敷地内を右回りで出口に向かうまで、距離にして25メートルほどの間に男性をひいてしまったのだ。

   道路を走行中なら、スピードの出し過ぎという可能性はあるだろう。だがスペースの限られた駐車場では徐行するしかない。携帯電話をいじってよそ見していた事実もないという。一体なぜ事故は起きたのだろうか。

   2013年1月4日放送の「モーニングバード!」(テレビ朝日系)では、「現場検証」を行った。昼間は明るい屋外駐車場でも、夕方になれば日が落ちて人が立っていても判別しにくいのではないかと考えたのだ。実際にリポーターが事故発生時刻に駐車場内で運転してみると、確かに薄暗くなってはいたが人影は見える程度だ。運転中に前方をしっかり見ていれば問題なさそうだった。

   事故直前の画像を見ると、駐車スペースはすべて車で埋まっており、出口に向かうには「1本道」となっている進路を抜けるしかない。被害者が駐車中の車の陰から出てきた際に、千野アナが何かしらの理由で前をしっかり見ておらずはねてしまったのかもしれない。番組内で、交通事故に詳しい弁護士は「駐車場で起きる車の事故」の理由として、「信号も歩道もないうえ、ほかの車はとまっている状況でドライバーが油断しやすい」だと説明した。しかもスピードは出せない状況にある。周りが「安全」だと思い込みやすい環境が、運転手にとって盲点になる可能性はある。

歩行者がいる意識が薄かった?

   「ワイドスクランブル」(テレビ朝日系)も1月4日、千野アナの事故を詳しく取り上げた。番組に登場した交通事故鑑定人によると、死亡事故がほとんど起きないような屋外駐車場にもかかわらず今回のような事態につながったのは、3つの事情が考えられるという。1点目は千野アナが何らかの事情で集中力を欠いていたのではないか、との指摘だ。車には家族が同乗していた。会話に気を取られた、徐行しながら何か探し物をしていた、などで前をよく見ていなかったのかもしれない。

   2点目は、「歩行者がいる意識が薄かった」という推測。「モーニングバード!」で弁護士が説明したように、歩道がないため「まさか人が飛び出してきたり、車の前を横切ったりすることはないだろう」と考えてしまいがちだ。だが当然、駐車場では車を乗り降りしたドライバーや同乗者が歩いて敷地内を移動する。歩道と車道が明確に分かれていないだけに、危険度は公道より高いとも言えそうだ。

   そして3点目として、日が落ちたばかりで車のライトを点灯していなかった可能性を挙げた。目視で人影が分かる時間帯であっても、見えにくくなっていたことには変わりない。

   いずれも推測の域は出ないが、まず事故が起きそうにない駐車場でも悪条件が重なれば、取り返しのつかない悲劇を引き起こす恐れは十分ある。