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トヨタがオタク文化に急接近した 真っ赤な「シャア専用車」を年内発売

   日本のメーカーや小売店によるアニメキャラクターとのコラボレーション企画がこのところ活発化しているが、あのトヨタが「機動戦士ガンダム」のメインキャラクター、シャア・アズナブルをイメージしたコンパクトカーを年内にも発売するという。

   この「シャア専用車」、実は2012年8月にフルモデルチェンジしたオーリスをベースにしていて、新型オーリスの購入者に「シャア専用車」にするためのカスタマイズパーツを別途販売する。狙いは「単純に新車が出ましたというのでは、購入者にインパクトが与えられない時代」だからだそうだ。

トヨタのエンブレムを全部「ジオン公国」の紋章に変更

「シャア専用オーリスCONCEPT」
「シャア専用オーリスCONCEPT」

   「シャア専用」を謳った製品はこれまで、バンダイのDVDプレイヤーや、任天堂のゲーム機「ゲームキューブ」のほか、バッグ、名刺入れ、USBメモリなど様々なものが販売されてきた。「シャア専用」というのは、「赤い彗星」の異名を持つシャアの操縦する戦闘用モビルスーツが特別仕様(専用)で開発されたことに由来し、ファンの間では、街などで他とは違うものを見つけると「これはシャア専用か?」などと話題にしてきた。現在はシャアだけが使うもの、という意味ではなく、赤いカラーリングがベースになっていて、高性能で、ツノのようなものが付いているものを「シャア専用」と呼ぶ人が多い。

   「シャア専用車」を企画したトヨタマーケティングジャパンプロデュース局によれば、フルモデルチェンジするオーリスの真っ赤な色を見て、「これはシャア専用車そのもの、になれる」とピンと来たという。オーリスは2012年8月20日に179万円からの価格で販売が開始され、それを「改造」した「シャア専用車」は、8月25日、26日に幕張メッセで開催された日本最大のキャラクター&ホビーイベント「キャラホビ2012」に出展した。

   その車は、トヨタのエンブレムが全て外され、シャアが所属していたジオン公国の紋章に変更、ボディーにも大きな紋章がラッピングされた。ハンドル、ホイールも特別仕様で、マフラーもモビルスーツの噴射口をイメージに変更された。ルーフにはツノ型のアンテナを設置し、これを隊長であるシャアのシンボルと位置付けた。

   その後もイベントなどに「シャア専用車」を展示すると「買いたい」「欲しい」といった声が多く寄せられ量産化を計画することになった。量産化といっても、まずはオーリスの購入者に対し「シャア専用車」にするためのエンブレムやマフラー、スポイラー、ハンドルといったカスタマーズパーツの販売だ。

   トヨタマーケティングジャパンはこうした販売に向け、ジオン公国と共同で「ジオニックトヨタ」という架空の会社を設立し、公式ホームページを立ち上げ13年1月9日から社員の募集を開始した。

日本が世界に誇る文化に乗らない手はない

   「ジオニックトヨタ」に登録すれば誰でも社員になれる仕組みで、社員になれば「シャア専用車」をどのようにカスタマイズし完成できるかのアドバイス権限が与えられる。

   こうした活動を通じて改めてパーツのデザインなどを決めて、13年内には販売を開始する。当初のターゲットは「ファーストガンダム」と呼ばれる1979年から放送開始されたテレビアニメをリアルタイムで見ていた40代が中心になるのではないか、と考えているという。

   トヨタマーケティングジャパンプロデュース局によれば、今回の企画に関し、

「新しい車を販売しました、買ってくださいだけではお客様に伝わりません。インパクトが与えられる提案や、ワクワクできる企画が必要なんです」

と力説する。トヨタは昨年、歌うバーチャルアイドル「初音ミク」をテレビCMに起用しするなど、オタク文化との接触を進めている。

「昨年のエヴァンゲリオンがそうでしたが、アニメキャラを起用する企業が増加しています。日本を代表する文化として育っていますし、人気が高いことから、その波に乗らない手はない、ということなんです」

   トヨタがシャアを起用したのもこうした一面があるようだ。