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橋下市長が小倉キャスター名指しで批判 「桜宮高の実態知らずに主張している」

   大阪市立桜宮高校の体育系2科の入試中止に関して、大阪市の橋下徹市長がツイッターで「とくダネ!」(フジテレビ系)のメーンキャスターを務める小倉智昭氏を批判した。

   小倉氏は番組で、一貫して入試中止の方針に反対する発言をしている。これに橋下市長は「桜宮高校の実態を知らずに受験生のことを考えるべきと主張するのは間違い」と切り捨てた。

「どうってことない、と言う権利は市長にはない」

   「とくダネ!」ではほぼ毎回、桜宮高で起きた体罰問題や生徒の自殺、それに伴う体育科とスポーツ健康科学科の入試の中止について報じている。2013年1月18日の放送では、市長が体育系2科の入試中止と教員、運動部顧問の全員交代を主張し、大阪市教育委員会がこれを認めなければ給与など人件費の予算を執行しないと発言したことを取り上げた。

   小倉氏は「橋下市長の発言が日に日に過激になって、極論じゃないのかと受け取れる部分もある」「入試中止して、教員を総入れ替えして、今後このような事件が起こらない保証がどこにあるのか」と首をひねり、「『体育学科が受験できないぐらいで、これから長い人生いろいろあるんだから、どうってことないよ』と言う権利は、市長にはないと思う」と述べた。

   その後も「批判」は続く。1月24日の番組で、入試中止を批判するマスコミに対して橋下市長がツイッターで反論している様子を紹介。「メディアが持っていない情報も、全て僕のところに上がってきている」、「上辺っつらの正義と、ひねくれた正義。共通するのは洞察力の浅い、薄っぺらな正義」と書いている。これに小倉氏は、「橋下市長が知らなくて報道が知っていることだって、結構あると思いますよ」と皮肉った。

   市教委は、体育系2科の入試を中止する代わりに普通科に振り替える決定を下したが、受験科目や配点は従来の体育系2科と同じで、入学後は体育に特色あるカリキュラムを組むという。これについても小倉氏は「橋下市長は、体育系学科が悪いという情報を持っているから入試中止にしたはずなのに、普通科として(同じような)試験をやるのはおかしいのではないか」とかみついた。

   翌25日は、橋下市長が大阪府に高校体育科の定員を増やしてほしいと要請し、府と市の教育長、松井一郎知事を交えての協議を公開した内容を放送。市教育長と橋下市長の主張が食い違う場面も流れた。小倉氏は「教育現場をどうするかという話し合いをガラス張りにするのがいいのか悪いのか、微妙」と、これまた賛同できかねるようだった。

「受験生の今を考えるのか、未来を考えるのか」

   一連の放送内容について橋下市長は、1月25日付のツイッターで、小倉氏を名指しして反論した。小倉氏は番組で「受験生のことを考えるべきだ」と一貫して主張し、入試中止に反対しているとしたうえで、「僕は受験生のことを一番考えて入試中止を教育委員会に要請した」と説明。「僕のところに上がってきている情報からすると、とてもではないが受験生を迎え入れる状況にはない」というのが理由のようだ。

   さらに「小倉氏は桜宮高校の実態を知らないまま、受験のことだけを考えて発言し続けたのであろう。それは間違い」とバッサリ。その一方で「受験生を迎え入れる状況にない学校であれば、受験生を迎え入れてはいけない。これは当たり前のこと。これからの報道で小倉氏も考えが変わるだろう」との考えを示した。教育長との議論を公開した点については「批判を受けてでも、格好悪い状況が明らかになったとしても、議論をそのままオープンにする」と信念を貫く構えだ。

   ただ1月25日時点で、小倉氏は「在校生や、これから桜宮高を目指す生徒のことをまず考えてあげるのが一番必要。そこがどうも納得いかないんですよね」と不満げな表情で話していた。橋下市長はさらにツイッターで「小倉さん、受験生の今を考えるのか、受験生の未来を考えるのか」と投げかけた。小倉氏は1月28日の放送でどんな言葉を返すだろうか。