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JAL、787運航停止で年度内に11億減収 4月以降も業績全体に与える影響は限定的

   日本航空(JAL)の植木義晴社長は2013年2月4日の記者会見で、ボーイング787型機の運航見合わせで13年3月期に11億円の減収を見込んでいることを明らかにした。

   4月以降も状況が改善されない場合はさらに影響は広がるもの、業績全体に与える影響は限定的との見方を示した。

767型機2機の「延命」も検討

決算会見に臨むJALの植木義晴社長
決算会見に臨むJALの植木義晴社長

   燃料漏れや発火事故などのトラブルが相次いでいることから、JALは1月16日から約2か月半にわたって787の運航を取りやめ、トラブルの原因が解明されないことから運航再開の見通しはたっていない。これが原因で、2月25日に予定されていた成田-ヘルシンキ線の開設も延期された。

   植木社長の説明によると、1月は収入と費用がそれぞれ3億円、1億円減少したため、収支としては2億のマイナスとなった。2~3月については、収入が8億円、費用が3億円減少し、収支は5億円のマイナスとなる見通し。

   13年度中に退役予定のボーイング767型機2機を新年度以降も活用して影響を減らしたい考えだが、13年4月以降も運休が続いた場合には、

「今よりも、効率を上げていくのが若干難しい。必要な整備が入ってきた時には、若干落ちるかなと思っている」

と機材やパイロットのやりくりの面で影響が広がるとの見方だ。反面、

「過去を振り返ってみれば、私がパイロットとして飛んでいた時にDC-10が、確か2~3か月運航停止になったことがある。高い頻度ではないが、こういったことはある」

とも話した。

787の45機導入計画は変更せず

   この日の会見では、13年3月期の通期業績予想の上方修正が発表されている。売上高は前回予想の1兆2150億円から1兆2280億円に、営業利益を1650億円から1860億円に、純利益を1400億円から1630億円に、それぞれ引き上げた。787運航停止による減収が見込まれるものの、欧米や東南アジア路線の需要が堅調なことを反映した。

   JALでは、今導入されている7機を含めて、787を合計で45機導入する予定だ。植木社長は787が従来機よりも高い高度で飛べることを例に出しながら、

「燃費の件もそうだが、揺れがあるときに他の飛行機が苦労している中『高みの見物』のようなフライドができる。今回、バッテリーの件で残念なことになっているが、素晴らしい飛行機だと聞いている。我々の計画の中枢に据えるべき飛行機」

と導入計画に変更がないことを強調した。

   製造元のボーイング社に対する損害賠償請求については

「今後、(運航停止が)長期にわたるということであれば、ボーイングとも話をしていきたい」

とした。

   同日発表された13年3月期第3四半期(12年4月1日~12月31日)の連結業績は、売上高が前年同期比3.6%増の9420億円、営業利益が2.2%減の1581億円、純利益が3.7%減の1406億円だった。欧米や東南アジア路線が好調だった上、尖閣問題で激減していた中国路線の需要が12年11月以降は戻りつつあることが要因だ。