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内需株も上昇、「アベノミクス効果」はこのまま続くのか?

   円安による輸出関連企業の業績回復と、それに伴う株価の上昇が続いている。東京株式市場は2013年2月6日、日経平均株価が前日比で400円超も値上がりして1万1400円台を付けた。

   自動車や電機に代表される輸出株に連れて、花王やローソンといった内需株も上昇。株式市場は活況の中にある。このまま、「アベノミクス」効果を信じていいのだろうか――。

2か月で円は10円超下落、株価は1500円急騰

「アベノミクス」効果で、内需株も上昇している
「アベノミクス」効果で、内需株も上昇している

   円相場は2012年11月末の1ドル82円半ばから、安倍政権の誕生で84円台半ばに下がり、さらに13年2月7日には93円後半と、この2か月で10円超も下落した。

   一方、株価は衆院選で自民党が圧勝した翌12年12月17日に9900円台だったものが、2013年2月6日までに1500円超も急騰した。この日の株価は終値で、前日比416円83銭高の1万1463円75銭。08年秋のリーマン・ショック後の終値ベースの高値である10年4月5日の1万1339円30銭をも上回った。

   「大胆な金融緩和」を打ち出した「アベノミクス」効果とはいえ、株式市場では加速する円安による輸出関連企業の収益改善を見込んで、大量の買いが入った。

   市場では、米リーマン・ブラザーズ証券が経営破たんする直前の水準である、「1万2200円超えが見えてきた」との声が聞かれたほど、活況だった。

   SMBC日興証券・株式調査部の西広市部長は、「出来高、売買高などが高水準にあり、アベノミクスへの期待値は引き続き大きいことがあります。外国人投資家の買い越しも12週連続ですし、個人投資家も1月からの信用取引の規制緩和もあって(1月第2週には)買い越しに転じるなど、しっかりしてきました」と話す。

   13年2月7日は利益確定売りが入り、終値で前日比106円68銭安の1万1357円07銭だった。西部長は、「たしかに加熱ぎみではありますが、こうしたこと(利益確定売り)を繰り返しながらも、それをも消化してしまうパワーがあります」といい、株価は「底堅い」とみている。

世界経済の回復が追い風、海外で稼ぐ「内需銘柄」

   国内景気の回復への期待感も膨らんだためか、内需株も上昇した。一般に内需株とされる主な銘柄は、金融や不動産、建設、通信、卸・小売、電鉄やレジャーなどの業種をいう。為替相場の影響を受けやすい輸出関連株はボラティリティ(変動性)が高いが、内需株は変動性が低く、相場での動きも遅れがちな傾向にある。

   金融緩和の「恩恵」を受ける銀行株や不動産株、公共事業の増加や復興事業に伴う収益改善が見込める建設株などを含め、住宅関連や卸・小売といった内需株までもすでに上昇しているわけだ。

   いまの株高の背景には、円安トレンドや国内企業の業績改善に加えて、景気が世界的に回復傾向あることもある。

   米国は経済指標が上向き、ニューヨークのダウ平均株価も2013年に入って7%近く上昇。史上最高値まで、あと190ドル程度にまで迫っている。ロンドン株式市場でも7.6%、上海株式市場も6.6%、それぞれ上昇している。株高傾向は、日本だけではない。

   じつは、こうした世界的な景気回復が「内需株」にもプラスに働いているとみられる。円高に悩まされたここ数年、製造業はもちろん、小売業なども中国や東南アジアをはじめ、海外進出を強めた。そのため、国内での期待値に加えて、海外での事業収益の伸びや改善度合いが加味されていることが買いの材料になっているようだ。

   株高の「勢い」はしばらく続くとみられるが、輸出関連株がけん引しているうちに内需株の上昇が確かなものになれば、「ホンモノ」なのかもしれない。