J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

「原発回帰」安倍政権  再稼働の行方(2)
柏崎刈羽原発 運転停止中でも4600人が働く

   原発としては世界最大出力を誇る東京電力の柏崎刈羽原発(新潟県柏崎市、刈羽村)は、6号機が2012年3月に定期検査(定検)入りしたのを最後に発電は行われていない。いわば「休眠状態」の原発では、日々どのような人が働き、どのような作業をしているのか。

原子炉建屋の内部。格納容器の「ふた」が取り外された状態だった
原子炉建屋の内部。格納容器の「ふた」が取り外された状態だった

   記者が案内されたプラントは、最後まで営業運転を続けていた6号機。1996年11月に運転を開始し、プラントとしては比較的新しい。原子炉建屋とタービン建屋に入るまでに2度のIDカードのチェックがあり、機器に影響を与える可能性があるとして携帯電話の電源を切るように求められた。

   原子炉建屋では、ガラス越しに原子炉を見下ろすことができた。格納容器のふたが取り外され、中はよく見えないものの、大きな口を開けていた。その横には使用済み燃料プールもあった。燃料はある程度深いところに保管されているようで、実際に見て確認することはできなかった。ガラス越しに人影を確認することもできなかった。

中央制御室には「災害に強い 世界に誇れる原子力発電所!」

7号機の中央制御室。12時間交代で勤務する
7号機の中央制御室。12時間交代で勤務する

   6~7号機の中央制御室にも案内された。運転員は13人1組のグループで担当。東日本大震災前は1組10人体制だったが、3人増強された。グループは5つあり、12時間交代でシフトが組まれている。主な業務はパラメーター(数値)の監視、パトロール、ディーゼル発電機などの非常用設備の動作確認など。

   運転が止まっていても、燃料プールの温度をはじめとする数値は常に監視を続ける必要があり、業務の量は通常運転時と大きくは変わっていないという。壁には「災害に強い 世界に誇れる原子力発電所!」の標語が掲げられ、担当者はPCの画面に向かって黙々と作業を続けていた。もちろん、計器に表示されていた出力は「0」だ。

敷地内で働く人数は通常の3分の2~4分の3程度

   実は、原発は運転しているときよりも定期検査の時の方が忙しい。13年2月1日時点で、敷地内で働いているのは4657人。そのうち1200人が東電社員で、残り3457人が協力会社、いわゆる「下請け」だ。事故前は社員と下請け合わせて6000人~7000人が働いていたが、今は3分の2~4分の3の水準に落ち込んでいる。この人数には防潮堤建設などに携わる人も含まれており、これらの工事が一段落すれば3200人程度まで減少する見通しだ。

   社員の数は原発の状況にかわらず一定だが、変動するのが下請けの人数だ。内訳も大きく変動した。事故前は定期検査に携わる原子力関連の技術者が多かったが、事故後は建設業関係者が増えたという。確かに、防潮堤の建設や鉄塔の耐震強化工事など、原発敷地内のあらゆる場所が工事現場になっていた。

   定期検査は13か月に1回行われ、2~3か月かかる。7つのプラントがある柏崎刈羽原発では、通常では常時どこかで定期検査を行っているのに近い状態だったという。

   東電の広報担当者は、

「定期検査に携わる人は、通年で原発に勤務しているケースが多い。広い敷地なので車で移動するが、敷地をすれ違う車の数からしても、やっぱり『少ないな』という印象がある」

と話し、やはり人数が少なくなっている実感があるようだ。確かに、構内ですれ違った車は見学者用バスや軽トラックなどせいぜい10~15台程度で、かなり少ない印象だった。