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「無慈悲な休日出勤による徹底的な残業」 北朝鮮過激挑発「言語」がツイッターで大ブーム

   「今年の流行語大賞は『無慈悲』か」――ツイッター上で、こんな発言が飛び出した。

   ミサイル発射予告など、北朝鮮の挑発が過激化する中で、宣伝部の発表に頻出する「無慈悲な」という形容がインターネット上で面白がられ、やたらめったらに書き込まれているのだ。

無慈悲なのは会社、大学教員、カード会社

   2013年4月12日18時現在、「無慈悲」という言葉を含むツイートは24時間以内に3000回以上投稿され、「#単語の頭に無慈悲なをつけると強くなる」「#無慈悲」というハッシュタグまでつくられることに。2ちゃんねるにも「無慈悲な●●」といった大喜利風のスレッドが立てられた。

   見てみると、「無慈悲な不採用通知」「無慈悲な便意」「無慈悲な大岡越前」「毎晩酔っ払って帰ってきたとき 無慈悲な妻のキックにより アバラ完全骨折した」「無慈悲な就職活動、無慈悲なサービス残業、無慈悲な休日出勤、無慈悲なハローワーク」と単に「無慈悲な」とつけただけのものから、同様に北朝鮮がよく使う「鉄槌」「火の海」といったキーワードと絡めた凝ったものまで数多く投稿されている。

   こうした「ネタ」の中で主に無慈悲とされているのは会社(上司)、大学教員、カード会社などだ。多くの人のスケジュールや、単位、家計などがそのせいで焦土化の憂き目にあっているらしい。

「無慈悲な大学教員『単位取得欄を火の海にする』」
「無慈悲な引き落とし爆雷により地獄の業火で家計が火の海に」
「無慈悲な我がシステム開発が貴社要員の休暇を徹底的に破壊するであろう」
「無慈悲な休日出勤による徹底的な残業が行われるだろう」

   また、

「無慈悲な定時退社をしてやろうと思ったんですが、火の海になるのは自分のスケジュールというね」
「残業代を払え さもなければ無慈悲な鉄槌が会社を火の海にするだろう」

と怒りの社畜ツイートもある。

「無慈悲発言が多すぎて無慈悲の価値がかなり落ちた」

   以前から、一部では北朝鮮関連の挙動を「無慈悲な」という形容することが流行っていたが、ここにきて爆発的に広まったかたちだ。理由は、最近北朝鮮が、好戦的な姿勢をむき出しにして盛んに周辺国への威嚇をおこなっていることに伴い、「露出」が増えたためと考えられる。

   実際、報道を見ると「無慈悲」は2013年4月に入ってからだけでも、少なくとも5回は発せられていた。

「われわれの無慈悲な作戦は既に最終承認された」(4日)
「麻薬犯罪を無慈悲に叩き潰そう」(5日)
「戦争の導火線に火が付けば全面戦争となり、我が方の無慈悲な報復聖戦となる」(11日)
「実際の軍事行動で無慈悲に懲罰すべきだというのがわれわれの最終決心だ」(11日)
「戦争は時間の問題であり、残っているのは無慈悲な懲罰だけ」(12日)

   こうした連発に、ネットには「無慈悲発言が多すぎて無慈悲の価値がかなり落ちたよな」と指摘する人もいる。

   ちなみに、記者が調べた限り、「無慈悲な」の使用はすでに1996年から見られた。それは、韓国軍に向けて「わが人民と人民軍は(中略)必要な時期に正々堂々たる手段と方法によって断固たる報復措置をとるだろう」「報復は空言でなく、無慈悲で徹底したものだ」と威嚇したもので、使い方もほとんど現在と変わらない。北朝鮮にとって「無慈悲」はほとんど「伝統芸」のようになっているのかもしれない。