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日経の「特ダネ」は信用できるのか 今回のマネックス株売却報道にも否定コメント

   日本経済新聞の報道に対し、ネット上で疑問の声が上がっている。2013年5月9日夕刊1面で、オリックスが保有するインターネット証券のマネックスグループの全株を売却すると報じ、マネックスの株価が暴落した。

   しかし、オリックスは売却の意向を否定し、翌朝に株価は反発したものの、マネックスは「報道の経緯を究明する」と怒り心頭だ。

日経は「自信を持っている」

マネックスグループは「当該報道に関わる経緯につき、究明して参る所存」とコメントを出した
マネックスグループは「当該報道に関わる経緯につき、究明して参る所存」とコメントを出した

   今回の報道については、日経は「自信を持っている」としているが、ここ数年、日経は大型経営統合やNTTドコモのiPhone(アイフォーン)発売など、大きく報じたにもかかわらず時間が経っても実現していない、いわば「誤報」とも言える記事が目立っている。

   問題となった記事は、夕刊向けに出稿され、ウェブサイトには東証の取引時間中の14時7分に掲載された。

「オリックスはインターネット証券のマネックスグループとの資本提携を解消し、マネックスの発行済み株式総数の約2割に当たる保有株式をすべて売却する」

という書き出しで、背景について、

「2009年の提携開始から連携強化を模索してきたが、相乗効果を得るのは難しいと判断。マネックスの株価も回復してきたことから売却を決めた」

と解説した。オリックスはマネックスの発行済み株式の22.5%を保有する筆頭株主。14時に4万6000円あったマネックス株の終値は4万円にまで下落した。

   オリックスグループの広報部はJ-CASTニュースの取材に対してマネックス株売却の意向を否定しており、浦田晴之副社長も5月9日の決算会見で「売却する考えはない」と述べた。売却の方針を報じた日経を念頭に「誤報」とも述べた。この発言を受け、翌5月10日朝のマネックス株は反発した。

   マネックスグループも5月9日、松本大社長の名前で

「この状況については遺憾であり、今後株式価値の増加に向けて引き続き最善を尽くしていくと共に、当該報道に関わる経緯につき、究明して参る所存です」

とするコメントを出している。

   日経新聞社の経営企画室広報グループは、これらの指摘に対して、

「複数の関係者に取材・確認しており、記事の内容には自信を持っています」

とコメントした。

「日立・三菱重工 統合へ」と報じた例も

   日経をめぐっては、11年8月4日には1面トップで「日立・三菱重工 統合へ」と報じ、直後に三菱重工が、

「統合について合意する予定があるかのような誤った報道がなされることは、当社及び関係者にとって極めて遺憾であります。(中略)このような報道については、断固抗議してまいります」

と異例の強い調子で否定コメントを出したという経緯がある。12年11月には火力発電事業を統合して合弁会社を設立することは発表されたものの、結局現時点まで、両社の経営は統合されていない。

   13年4月22日には、朝刊1面トップで「川重・三井造船、統合交渉」と報じ、各紙も追いかけたが、両社は直後に「そのような事実はない」といった否定コメントを発表している。

   ドコモのiPhone発売をめぐる報道は、ほぼ恒例行事と化している。例えば、東京スポーツの公式アカウントのツイートは、

「ドコモiPhone参入を否定された日経について『東スポ並み』とか言われ複雑。うちなら『ドコモ iPhone獲得のため霊媒師使いジョブズ氏と会談』ですよ」(11年12月1日)
「ドコモiPhone導入へと再び書いた日経について『東スポ並み』とか言われ複雑。同じネタの使い回し、うちはありません。やるなら『ドコモ iPhone導入のためiPS細胞使ったジョブズ氏クローンでApple説得へ』ですよ」(12年12月7日)

といった具合で、2年連続でネット上で話題になるほどだ。