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夏のボーナス、2年ぶりプラス 円安恩恵自動車業界の高い伸び目立つ

   経団連がまとめた大企業の2013年夏のボーナスの妥結額は、回答があった132社の平均で80万9502円となり、前年に比べ4.99%増えた。夏のボーナスがプラスとなるのは2年ぶり。80万円を超えるのは5年ぶりで、アベノミクス効果を裏付ける結果となった。

   サラリーマンには久々の朗報だが、リーマン・ショック前のピークだった2007年の91万286円には届かず、ボーナスは依然として回復途上とも言える。

16業種のうち、プラスは自動車、食品、印刷など9業種

   業種別の妥結額では食品が90万7668円(増減率2.38%増)で最も高く、JRの90万5374円(同8.61%増)、自動車の89万600円(同10.73%増)が続いた。伸び率では印刷の16.94%(53万2038円)が最も高く、次いで自動車、セメント(71万8926円、9.31%増)となった。業種別では妥結額が判明した16業種のうち、プラスは自動車、食品、印刷など9業種で、非鉄・金属、繊維、紙・パルプ、鉄鋼など7業種はマイナスと、明暗を分けた。

   一見してわかるのは、自動車業界の高い伸びだ。輸出依存の高い製造業の筆頭で、アベノミクスによる円安効果が二ケタの伸び率に結びついた。自動車の2012年夏の増減率は3.15%減とマイナスだっただけに、自動車の業績回復は今夏のボーナス集計の全体を押し上げた。反面、工場の海外移転で自動車よりも円安効果を受けにくくなった電機業界は76万9211円、0.43%増と微増にとどまった。このほか、円安による輸入コスト増が響く非鉄・金属、繊維、紙・パルプ、化学、鉄鋼は前年に続くマイナスとなり、プラスに浮上できなかった。

「2013年度中は高めの成長が続く可能性が高い」

   経団連は毎年、東証1部上場の従業員500人以上の主要企業21業種、大手240社を対象に、夏のボーナスをめぐる労使の妥結状況を調べている。今回は5月末の第1回集計に次ぐ最終集計になる。

   果たして、アベノミクスで冬のボーナスは増えるのか。内閣府が12日発表した4~6月期の国内総生産(GDP)の速報値は、物価変動を除いた実質で前期比0.6%増、年率換算で2.6%増となり、消費者マインドの改善や雇用・所得環境の持ち直しを裏付けた。民間消費が前期比0.8%増と伸びたのに対し、住宅投資が0.2%減、設備投資も0.1%減と予想外のマイナスとなったのが気になるところだ。

   しかし、民間のシンクタンクによると、住宅投資、設備投資も7~9月期にはプラスに転じるとみられ、「2013年度末にかけては個人消費を中心に消費税率引き上げ前の駆け込み需要が発生するため、2013年度中は高めの成長が続く可能性が高い」(ニッセイ基礎研究所)という。安倍首相の消費税率引き上げの最終判断にもよるが、景気が本格回復に向かうなら冬のボーナスも期待がもてそうだ。