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韓国・平昌冬季五輪に「危惧」の声 雪もノウハウも不足、救世主は北朝鮮か

   2018年、韓国・平昌(ピョンチャン)で開催予定の冬季五輪に対し、内外から危惧の声が上がっている。ノウハウ不足や、気候の問題による設備の心もとなさなどが指摘されているのだ。

   平昌は韓国の東北内陸部に位置、日本では、ドラマ「冬のソナタ」の舞台といえばイメージがわく人も多いだろう。山と雪に恵まれた「韓国一」のスキースポットだ。

降雪量は白馬の3分の1

平昌五輪公式ウェブサイト。韓国初の冬季五輪、果たしてどうなる
平昌五輪公式ウェブサイト。韓国初の冬季五輪、果たしてどうなる

   ならば何の問題が――と思うだろうが、問題はこれがあくまで「韓国一」ということだ。2013年7月に発生した韓国人登山客遭難事故の際にも盛んに報じられたが、韓国には標高2000メートル以上の山がなく、さらに緯度の高さの割に雪があまり降らない。そのため、日本のようにあちこちにスキー場があるというわけでもなく、そうしたスキー場でも人工雪を使うところが多い。

   それでも平昌は「マシ」なほうだが、冬シーズンの平均降雪量はだいたい250センチで、長野五輪の主要会場の1つとなった白馬村(2012~13年)の約3分の1に過ぎない。日本でいうと、ちょうど栃木県の日光ほどだ。特に日本のネットではこうした数字をあげつらい、「開催危機」などと煽り立てる人もいる。

   ウィンタースポーツの浸透度の面でも、不安が残る。韓国はこれまで冬季五輪で、日本(37個)を上回る45のメダルを獲得している。しかしその全てがショートトラック(37個)を中心としたスケート種目で、他の種目はまだ発展途上だ。冬季五輪の花形種目の1つ、スキージャンプにいたっては、9月5日に開催された全国大会の参加者がわずか15人しか集まらず、韓国内でも懸念の声が小さくない。ボブスレーも国内に専用の競技場が1つもなく、4月の代表決定戦も長野で催された。完成は2016年の予定だ。

   10日には日韓が五輪開催で「全面協力」すると報じられたが、韓国側のこうしたノウハウ面での不安や焦りを反映したものと見る向きもある。

金正恩さまはスキーがお好き?

   そんな足元を見透かすように「救いの手」を差し伸べたのが北朝鮮だ。金正恩第一書記は現在、自ら先頭に立って大規模なスキー場建設を推進している。このスキー場を、平昌五輪のスキー競技会場として提供しようというのだ。五輪誘致に当たってはしきりに「南北平和への貢献」を訴えてきただけにある意味では「名案」だったが、韓国五輪委は「五輪は1つの都市で行わなければいけない」との原則論でこれを蹴っている。

   平昌五輪招致に当たって強調されたのは、欧米に偏重気味のウィンタースポーツをアジアにも広める、という大義だ。このコンセプト「新しい地平」が受け入れられたからこそIOCも五輪開催を決めたわけだから、競技人口の少なさや環境整備の遅れはある意味では折りこみ済みではある。降雪量なども、IOCは現時点ではそれほど問題にしていない。公式的には準備も順調に進んでいるとされ、8日のIOC総会での途中報告も委員たちから及第点を受けた。

   しかし韓国のネット上では、どことなく冷淡な声が目立つのもまた事実だ。

「東京に五輪が決まったのがすっごく羨ましかったけどさ、よく考えたら平昌でも五輪やるんだったね。すっかり忘れてた」
「なんで平昌で五輪をやるんだっけ? ソウルとか釜山でやれよ」
「平昌で五輪とか間違いだったんじゃないかな。俺結構いい年だけど平昌とか五輪決まるまで聞いたことなかったし」