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「新聞に軽減税率」がヤマ場迎える 自民党207議員が署名提出、主メンバーは業界出身者

   新聞に軽減税率適用を求める署名簿を自民党税調に出した所属国会議員207人のうち、主なメンバーは業界出身者となっている。なぜこのタイミングで出したかも、憶測を呼んでいるようだ。

   「新聞は、活字文化や議会制民主主義を支える公共財だ」。報道によると、自民党新聞販売懇話会会長の丹羽雄哉衆院議員は、署名を出した2013年12月6日、記者団にこう主張した。

会長は読売新聞記者出身、事務局長は産経新聞記者出身

   消費税率が10%まで引き上げられる時期に、生活必需品に軽減税率を適用することが与党内で議論されている。公明党の主張もあり、その中に新聞や出版を含めるかどうかも焦点だ。自民党新聞販売懇話会は今回、新聞も適用してもらおうと、党税制調査会の額賀福志郎小委員長に賛同者の署名簿を手渡した。

   丹羽氏は、イギリスやベルギーでは新聞への課税がゼロであることを引き合いに出し、先進国の民度が問われるなどと迫った。これに対し、税調の額賀氏は、必需品をどこで区切るか難しいとして、態度を明確にはしなかった。

   新聞に軽減税率を適用するかどうかについて、与党は、税制改正大綱をまとめる12日にも結論を出すと一部で報じられている。

   議員らが軽減税率を求める背景には、自民党新聞販売懇話会の主なメンバーが業界出身者ということもあるらしい。

   会長の丹羽氏は、読売新聞記者出身で、事務局長の山谷えり子参院議員は、産経新聞記者出身だ。前会長の中川秀直元党幹事長も日経新聞記者出身で、前事務局長の山本一太参院議員は朝日新聞記者の経験がある。もともと、懇話会は、1987年に中川氏が中心になって結成したものだった。

   一方、ネット上では、新聞への軽減税率適用については、批判的な声がなお多い。

   新聞は必需品ではなく嗜好品だなどとして、適用は食品などに留めるべきだというものだ。また、特別視すれば業界と政界との癒着を生む、との指摘も相次いでいる。

特定秘密保護法成立「まったく関係はありません」

   中には、反対する新聞も多かった特定秘密保護法が2013年12月6日に成立したタイミングを狙って、その見返りに新聞に軽減税率適用を求める動きが出てきたとみる、うがった見方まであった。

   特定秘密保護法との関係は分からないものの、過去には、タイミングを計って署名簿を出すことにしたとの報道も一部で出ていた。

   マスコミ業界紙「文化通信」の8月6日付記事によると、自民党新聞販売懇話会は、臨時国会会期中の7日にも党税調に著名簿を出す予定だったが、その前日になって延期することを決めた。それは、軽減税率適用について、まだ政府の議論が様々に出ていることから、最も有効な局面を見定めてから出すことにしたからだという。

   山谷えり子事務局長の事務所では、取材に対し、懇話会には新聞記者出身者らもたくさんメンバーになっていることを認めた。ただ、今回署名したメンバーらの個人名は明らかにしていないとした。国会議員なら政治的立場を言えるはずだが、懇話会幹部の判断であり事務所では理由は分からないという。

   最も有効な局面を見定めてから署名簿を出したことは認めたが、「特定秘密保護法とはまったく関係はありません。党の税調が山場を迎えたとの判断からです」と説明している。ネット上の批判については、国会議員団ではないので事務所で答えることではないと言っている。