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桜田淳子の「芸能界復帰」に「NO!」 弁護士・被害者団体「統一教会信者の士気高揚につながる」

   桜田淳子さん(55)が約20年ぶりの芸能活動となるファン感謝イベントを行って以来、「本格復帰」がささやかれるようになった。

   そうした中、桜田さんの「復帰」に反対する声明を「全国霊感商法対策弁護士連絡会」と「全国統一教会被害者家族の会」が出した。両会は、桜田さんが「統一教会」の信者である以上、芸能活動を行うことは教会の反社会的組織活動の増長につながるとして問題視している。

コンサートは大成功したものの…

   2013年11月26日、東京・銀座の博品館劇場には桜田さんのファン380人が集結した。デビュー40周年に合わせて作られたベストアルバムのリリースを記念し、一夜限りのファン感謝コンサートが行われたのだ。約20年ぶりの芸能活動ということもあり、1枚4200円のチケットは即完売、ネットオークションでは20万円の値がついた席もあった。ファンを公言しているタレントのクリス松村さんは「桜田さんが出てくると、親衛隊の『じゅんこちゃーん!』というコールと拍手が鳴りやまなかった」と、テレビ番組内でその熱狂ぶりを振り返っていた。

   桜田さんはコンサートの約半年前、かつて所属していた芸能事務所「サンミュージック」の会長・相澤秀禎さんの通夜を訪れ、約16年ぶりに報道陣の前に姿を見せた。アイドル時代のおもかげはなく、肩まで伸びた黒い髪と黒縁のメガネという見た目で、輪郭もふっくらとしていた。ところが、コンサートでは茶髪のミディアムヘアとなり、輪郭や体型もスッキリとした印象に。55歳となった今も可愛らしさは健在で、約30年ぶりに披露する歌声でファンを魅了した。

   イベントの大成功により「完全復帰」の気運が高まるが、桜田さんは霊感商法が社会問題にも発展した「統一教会」の「広告塔」として知られている。1992年に統一教会の合同結婚式で結婚、信者だということが公になり、芸能活動休止に至った。事実上の引退後も、3人の子供の育児に専念する傍ら、教会の活動を熱心に続けてきた。

「霊感商法による違法な資金集めなどが活発化する恐れがある」

   統一教会を巡っては、現在でも被害者が続出している。そのため、広告塔である桜田さんの口から謝罪や脱会の言葉がないまま、「復帰話」が持ち上がることについては批判的な声も少なくない。12月24日には「全国霊感商法対策弁護士連絡会」と「全国統一教会被害者家族の会」の2団体が桜田さんの活動再開に反対する声明を発表した。連絡会メンバーで霊感商法に詳しい紀藤正樹弁護士は、J-CASTニュースの取材に対し「桜田さんの芸能活動は信者の士気高揚につながり、正体を隠した勧誘活動や、霊感商法による違法な資金集めなどが活発化する恐れがある」と警鐘を鳴らす。

   信者の多くが献金や信者勧誘のノルマ達成に酷使される中、桜田さんは教会内で特別な扱いを受けている。その影響力は非常に大きく、対内的には信者の気持ちを鼓舞する「雲の上の存在」であり、対外的には統一教会のイメージアップにつながる「広告塔」として存在感を示しているという。今回のコンサートは統一教会の主催ではないが、紀藤弁護士は「彼女は自身の行動に対する決定権を持っていない。コンサートは教会が持ちかけた、または持ち上がった企画を教会側が許可したものであることは間違いない」と指摘する。その背景には、教祖の文鮮明が12年に死去したことにより求心力が弱まっている教会内部の事情があるという。「教会内はガタガタな状態で、資金繰りも厳しくなっている。桜田さんの復帰で信者の士気を高揚させようという目論見だろう」(紀藤弁護士)。

   桜田さん本人は今後の活動について、今のところ言及していないが、仮に復帰を望んだとしても厳しい状況にあるようだ。信者である以上、スポンサーが付きにくいことは間違いない。また、コンサートを訪れたサンミュージックの相沢正久社長も各取材に対し、桜田さんが脱会しない限り同事務所での復帰はないと断言している。活動再開に動くならば、被害者への謝罪、そして教会との決別を公表することが条件となりそうだ。