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ファウルに「報復」でレッドカード ロナウジーニョ退場、中国選手お咎めなしは妥当か

   中国サッカーはしばしば「ラフプレー」の多さで話題になる。相手選手の顔面や股間を蹴るなどしてけがを負わせる凶暴さは、「カンフーサッカー」と揶揄されるほどだ。

   そんな中国のサッカーチームがまたしても乱暴なプレーを繰り出したとして話題になっている。しかも中国選手にはお咎めがなく、報復したロナウジーニョ選手だけが退場になるという結果にサッカーファンが激怒している。

股間に挟んだボールを蹴られ脚を蹴り返した

問題のシーン。倒れているのがロナウジーニョ選手(YouTubeより)
問題のシーン。倒れているのがロナウジーニョ選手(YouTubeより)

   問題のプレーがあったのは、2013年12月21日(現地時間)にモロッコのマラケシュスタジアムで行われた、FIFAクラブワールドカップ3位決定戦、ブラジルのアトレチコ・ミネイロ(Aミネイロ)と中国の広州恒大との試合でのことだ。

   試合終盤、ボールを持っていたAミネイロのロナウジーニョ選手が広州の趙旭日選手に倒されフリーキックとなった。ロナウジーニョ選手はボールを股に挟んだまま倒れたのだが、このボールを趙選手が股間に打ち付けるような形で蹴った。すると、ロナウジーニョ選手が仰向けのまま趙選手の両脚に蹴りを入れたのだ。

   趙選手の乱暴な行為への報復と見えたが、主審はロナウジーニョ選手にだけレッドカードを出した。ロナウジーニョ選手は股間をおさえるアピールなどしていたが、一人だけ退場という不本意な形になってしまった。

   この試合は日本でも日本テレビ系で中継されていたが、解説の都並敏史さんは「上から踏んづけたプレーをロナウジーニョは自分の足を踏まれたという感覚でいますから、それに対して報復をしてしまったんですけど、そうすると両方退場じゃないか、そういう思いがロナウジーニョにはあるんでしょうね。ただこのプレーだけ見たら確実に退場行為ですから、その辺は難しいところ」と話していた。

バーレーン戦で山田直輝が顔を踏まれた時の主審

   結局ロナウジーニョ選手を欠いたAミネイロが3対2で広州を下したのだが、サッカーファンの多くは後味の悪さを覚えたようだ。

   両選手がやり合ったシーンがYouTubeにアップされ、コメント欄には「ロナウジーニョの反応はよくわかる。蹴られて冷静でなんかいられない」「典型的な中国の選手だな」「アジア人のサッカーはいつもマフィアがいるな」「アジア人は世界の恥」など、趙選手を批判、罵倒する書き込みが並んでいる。

   サッカージャーナリストで「週刊審判批評」を運営する石井紘人氏は、趙選手の行為について「ロナウジーニョ選手を挑発するようにロナウジーニョ選手の足にも影響させている」と見る。「ロナウジーニョ選手の退場は妥当」とした上で、「主審の角度は真裏だったので、趙選手はロナウジーニョ選手が挟んでいたボールにプレーしたと思ったのかもしれないが、そうとらえる審判員は少ないと思う。趙選手に懲戒罰が出ないのは疑問」と首をひねった。

   この試合で主審を務めたイランのファガニ氏は日本代表戦でも何試合か主審を務めている。11年11月のロンドン五輪アジア最終予選の対バーレーン戦で、山田直輝選手が顔を踏みつけられ負傷した時はすぐさま相手選手を退場させるなど、公平なジャッジが高評価を得ている。「そういった判定を積み重ねてクラブW杯に召集されたのだろうが、それだけに今回の判定は残念。審判委員会・インストラクターから指導があると思う」(石井氏)とのことだ。