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2013年の倒産、バブル期並みの少なさ 今年は消費増税でどうなるか

   2013年の全国の企業倒産(負債総額1000万円以上)は、倒産件数が1万855件と5年連続で前年を下回り、1991年(1万723件)以来、22年ぶりの低水準だったことが、東京商工リサーチの調べでわかった。負債総額は2兆7823億円で、こちらも2年ぶりに前年を下回り、1990年(1兆9958億円)以来、23年ぶりに3兆円を割った。

   倒産件数、負債総額ともバブル期並みの「少なさ」となり、アベノミクス効果を裏付ける格好となった。

政府が実施した総合的な対策が効果を発揮

   東京商工リサーチによると、2013年は上場企業の倒産が3件と前年から半減し、東証1部、2部上場企業の倒産はゼロだった。東証1部、2部上場企業の倒産がゼロとなるのは7年ぶり。「負債1億円未満の倒産が全体の7割を占め、小規模企業の倒産が目立った」のが特徴という。

   産業別では、調査対象の10産業のうち、金融・保険業を除く9産業の倒産が前年を下回り、「建設業、製造業、卸売業、小売業、不動産業の5産業は1994年以降の過去20年間で最も件数が少なかった」という。倒産の原因は、「販売不振」と「赤字の累積」が多く、「業績回復の遅れで息切れする企業が多かった」という。

   バブル期並みに倒産が少なかった要因について、東京商工リサーチは「2013年3月末の中小企業金融円滑化法の期限切れに伴い、政府が実施した総合的な対策が効果を発揮した」と見ている。同法は2008年秋のリーマン・ショック後の金融危機を受け、中小企業や住宅ローンの借り手が金融機関に支払い猶予などを求めた場合、金融機関は可能な限り貸付条件の変更に応じなければならないという内容。賛否両論はあるものの、多くの中小企業が金融機関から返済猶予などを受け、「同法がリーマン・ショック後の倒産ラッシュを水際で食い止めた」(エコノミスト)と言われる。

希望・早期退職者を募集した上場企業も減る

   同法はこれまで2度にわたって延長され、2013年3月末で期限が切れたが、政府は全国の財務局や財務事務所に中小企業の資金繰りに関する相談窓口を設けたり、経営支援のための「セーフティーネット貸付」や借り換え保証などの対策をとったりした。金融庁は金融機関への検査や監督を通じて、貸付条件の変更や円滑な資金供給に努めるよう求めた。これらの激変緩和措置が倒産を食い止める効果があったということらしい。

   2013年はバブル期並みに倒産が減少しただけでなく、希望・早期退職者を募集した上場企業が54社と、2年ぶりに前年(63社)を下回ったことも、東京商工リサーチの調べで明らかになっている。安倍政権発足直後の2013年1月は20社が希望・早期退職者を募集するなど、年初は先行きが懸念されたが、「4月以降はアベノミクス効果による円安で上場企業の業績が輸出企業を中心に急回復し、潮目が変わった」という。

   倒産がバブル期並みに減少し、早期退職者の募集が減るのは、もちろん朗報だ。2014年の最大の懸念材料は、やはり4月の消費増税だろう。中小・零細企業が増税に伴う適切な価格転嫁に踏み切れるのか。増税前の駆け込み需要の反動で、春以降の消費がどこまで落ち込むのか。春闘で賃上げは実現するのか――など、日本経済を取り巻く不安材料は尽きない。