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回転すし「くら寿司」の「豚丼」が大ヒットの兆し 牛丼チェーンに宣戦布告?「もう何屋かわかんねえな」の声

   回転すしチェーン大手の「くら寿司」がラーメン、天丼に続き「イベリコ豚丼」の販売を始めたところ、この豚丼の売り上げが当初予想の1.2倍という好調なスタートを切っているのだという。

   同社広報によれば豚丼を食べるだけの来店も歓迎で、専門店にも負けない本格的な味であり「牛丼チェーン店のお客もこちらに引っ張りたい」と宣戦布告しているが、ネットでは「もう何屋かわかんねえな」「回転レストランに名称変更しろ」などといった意見も出ている。

「イベリコ豚丼」400円が当初予想の1.2倍の売り上げ

   くらコーポレーションが2014年3月7日から「くら寿司」で販売を始めたのは税別400円の「イベリコ豚丼」。スペイン政府が認定した最上級種「ベジョータ」を使い、ご飯の上に甘辛のタレを付けて焼いた肉と半熟卵とネギをトッピングしている。この「ベジョータ」を世界で流通する4分の1に相当する250トンを買い占めた。これまで回転すしチェーンのサイドメニューといえば「うどん」といったすしに合う食事や、ケーキなどの食後のデザート、たこ焼きやフライドポテトなどがあるが、そこに「豚丼」が登場したとしてネット上でも驚きが広がっていた。

   同社広報によれば12年11月からサイドメニュー戦略を進めていて、 ラーメン、天丼、コーヒーと拡充させてきた。12年11月から販売を始めた「7種の魚介醤油ラーメン」(税込378円)は既に1000万食を突破するというヒットとなり、ラーメンの販売を始めてから客単価が14か月連続で前年を上回っているという。そこで満を持して開発したのがこの「豚丼」で、当初予想の1.2倍の売り上げで推移しているという。

   それではなぜ「豚丼」なのか。まず、サイドメニュー戦略を取った理由として外食産業の厳しい状況がある。飲食店は飽和状態にあり回転すしという同業他社との競争というよりも、ファミレスや牛丼チェーン、ラーメンチェーン、そしてコンビニやスーパーを含めた客の奪い合いになっている。そこで生き残るため、お客の来店機会のロスを減らそうとサイドメニューを拡充した。

すし一皿100円の薄利多売では経営に限界も

   同社広報はその狙いを、

「お魚を食べたい人もいれば今日は肉を食べたいという人もいます。そうしたお客様やご家族なりグループが『とりあえずくら寿司』と選んでいただければ」

と説明した。また、回転すしは良い素材を使っても一皿100円といった販売が定着しているためとても利益率が低い。それを打開するためにサイドメニューを充実することによって客単価と利益率を上げる。同社はこれまでサイドメニューの全体に占める売り上げが15%ほどだったがこの1年で25%に上昇し近々30%まで持っていく。30%になれば採算ラインに乗るのだそうだ。

   サイドメニューは、ただ増やせばいいということではなく、クオリティーや味を疎かにするとお客は振り向いてくれない。そのため専門店にも負けない商品に仕上げているという。同社広報は、

「今回の豚丼にしても競争相手は牛丼チェーン店ということになるわけです。どれだけ当店に来ていただけるか、勝負になります」

と牛丼チェーンへの宣戦布告を口にした。