J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

テレビ朝日の視聴率が急落、大丈夫か 社長交代を目前に控え「暗雲」が漂い始めた

   視聴率争いで健闘していたテレビ朝日が、2014年度に入ってから不調に陥っている。特に新たにスタートした刑事ドラマの視聴率が振るわず一桁台で、ゴールデンタイムの平均視聴率はガタ落ちした。

   ネットでは「刑事ドラマやりすぎなんだよ」「マンネリだ」などと叩かれている。

ゴールデンタイム視聴率は5位

   テレビ朝日は2013年度の視聴率で、ゴールデンタイム(午後7~10時)、プライムタイム(午後7~11時)でトップとなり、2冠を達成して好調だった。特に刑事ドラマ「相棒」や医療ドラマ「ドクターX」などが受け、「お試しかっ!」や「くりぃむクイズミラクル9」などレギュラーのバラエティー番組も安定した視聴率を獲得していた。

   ところが年度の変わった2014年4月のゴールデンタイム平均視聴率は9.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)で前年同期より2.3ポイント下落し、在京キー局のNHK、日本テレビ、TBS、フジテレビに次ぐ5位となった。

   原因のひとつとされているのが4月にスタートした連続ドラマだ。今クールは「BORDER」(木曜午後9時放送)と「刑事110キロ」(水曜午後7時58分放送)、「TEAM~警視庁特別犯罪捜査本部」(水曜午後9時放送)の3本の刑事ドラマを投入したが、いずれも初回の視聴率は1桁台と思うような成果が出ていない。

   前クールの「相棒」「科捜研の女」「緊急取調室」「私の嫌いな探偵」の4本が初回から平均視聴率10%以上を記録したのとは対照的だ。早河洋社長は4月22日の定例会見で、刑事ドラマの視聴率低下について「女性層に訴求していない」として、「もう少しサスペンス要素を強めるとか、謎解きの痛快さを入れたい」と語っていた。

   だが、作品としての評価が突出して悪いわけではない。同じ時間帯の裏番組にはTBSの刑事ドラマ「MOZU」もあり、4月の視聴率低迷についてネットでは、刑事ドラマが飽和状態であると指摘する意見が少なくない。フジテレビでも「ビター・ブラッド~最悪で最強の親子刑事~」(火曜午後9時放送)という刑事ものを放送している。

   2ちゃんねるでは、

「得意の刑事ドラマも何もそればかり作られたらたまらんわ」「テレ朝って一つあたると似たようなのばっか作ってワンパターンな番組ばっかりなんだよ」「面白くないわけじゃないけど刑事物が多すぎて他のを見たらもういい、って気分になるね。1週間に刑事物を楽しめる数は限られてるんだな」

といった書き込みが目立つ。

6月には朝日新聞社出身の新社長が就任

   また、社長交代による体制の変化も予定されているため、さらに今後の視聴率が不安視されている。

   09年に就任した現社長の早河氏はテレビ朝日では初となる生え抜き社長。社員の意気も上がり、豊富な現場経験を足場に、さまざまな改革をして万年4位だった視聴率を押し上げてきた。新社長には従来の慣例通り朝日新聞社の出身者である吉田慎一氏が就任する。6月下旬の株主総会と取締役会を経て、持ち株会社「テレビ朝日ホールディングス(HD)」と放送事業会社「テレビ朝日」の社長となり、早河氏は両社の会長兼最高経営責任者(CEO)に就く。吉田氏は記者時代に2度も新聞協会賞を受賞したことで知られ、長く編集部門の責任者を務めてきたが、テレビ経営に関与するのは初めてだ。

   早河氏としては高視聴率を維持したままバトンタッチしたかったとみられるが、「暗雲」が漂う始める中で、テレビ経験のない朝日新聞出身の社長になって2013年度のような高視聴率を取れるかどうか注目が集まりそうだ。