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小保方氏ようやく「実験ノート」公開するも… 専門家「理科の観察日誌?」「ものすごい破壊力」

   理化学研究所の小保方晴子氏が記した実験ノートの一部が、代理人弁護士らによって2014年5月7日、公開された。小保方氏は「ちゃんと実験していることを示したい」として公開に踏み切ったと報じられている。

   ところが、具体的な実験条件などが不足した内容に、研究者や識者からは疑問の声が噴出している。

「陽性かくにん!よかった。」

   報道によると、今回公開されたのは実験ノートのコピーで、小保方氏が4月20日に理研に提出した追加資料の一部だ。調査委員会に捏造と認定された画像に関する実験が実際に行われ、本物の画像があることを示したものだという。

   コピーには小保方氏自身が手書きしたマウスの絵や、代理人がノートを打ち直したという実験の内容などが記されている。中には「陽性かくにん!よかった。」といった実験に対する率直な感想や、「移植」の後ろにハートマークが書かれている部分もあった。

   小保方氏はこれまで実験ノートの公開を避けてきた。内容には未発表のデータが含まれているため、今後の論文発表への影響を危惧したためだ。それでも公開に踏み切ったのは、次の論文よりも現時点での疑惑の払拭を重視したためのようだ。代理人の三木秀夫弁護士は「証拠を何も出していないと言われたくない」と報道陣に述べている。また、小保方氏も「エア実験と言われるのは情けない。ちゃんと実験していることを示したい」と話し、公開に同意したとのことだ。

   だが、いざノートの内容が報じられると、ツイッターでは専門家からの疑問の声やツッコミが相次いだ。ワシントン大学生物学部教授の鳥居啓子氏は、「絵日記のような実験ノートにびっくり。理科の観察日誌?」と驚きを露わにした。サイエンスライターの片瀬久美子氏も「2冊の実験ノートを見た時の調査委員に対する脱力効果も如何ばかりであったろうか…」、科学ライターの内村直之氏も「ものすごい破壊力である。理研は持ちこたえられるだろうか」とつぶやいた。

マウス絵ページ、日付や作成方法分からず

   注目を集めているページの1つが、上部に「テラトーマ(編注:奇形腫)解析について」と書かれたノート75ページのコピーだ。マウスの絵が描かれているのだが、その下には「大量移植」「No.2が一番大きな~」「薄切の後、染色」といった、曖昧な表現や情報不足の記述が目立つ。一般の人たちからの反響も大きく「2冊の他のページはどうなっているんだろう?」「実験ノートってあんなざっくりとした記述でいいものなの?」などと疑問の声が相次いでいる。

   この75ページについては、理研の調査委員会が8日に発表した報告書でも「テラトーマがどのような細胞と方法を用いて作製されたかについては記載されていない」と指摘し、小保方氏の主張を退けている。また、このページには日付が書かれていないために、小保方氏が言う日付に実験が行われたかどうかも確認できないとしている。

   調査委員会は8日、小保方氏側が求めた再調査については「する必要はないものと判断した」との結論を下した。朝日新聞デジタルによると、代理人の三木弁護士は「結論ありきだ。腹立たしく残念に思っている」と報道陣に話し、論文の取り下げ勧告に対しても撤回の意思はないとしている。