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ヤンキース田中「やはり人間だった」 34連勝でストップは「ショック」か「解放」か

   ヤンキースの田中将大が2014年5月20日のカブス戦で負け投手となり、日米公式戦での連勝が34で終わった。

   「不敗のエース」のつまずきは大きなニュースに。今後の田中は大丈夫なのか。

「雨が強くなった」の同情論は失礼

   この敗戦のニュースは、日米のマスコミで大きく取り上げられた。たとえば日本の全国紙。21日付けの夕刊は1面で報じた。

   田中の投球内容は、6回4失点(自責点3)。7三振を奪ったものの、8安打を許したのは勝負どころの球が甘かったというところだろう。この失点は勝利、敗戦どちらにもなる数字だ。1点しか取れなかった打線に左右されたといえる。

「自分のピッチングができなかった。打ちやすいコース、高めに集まった」

   田中はそう振り返った。先制点を奪われた3回は暴投が絡み、田中らしくないミスだった。雨が強くなった、という同情論が日本のメディアで解説されたが、これは相手も同じ条件で、むしろ田中にとって失礼だし、田中本人がもっとも嫌がる話だろう。

   エースは味方打線が1点しか取れなければ、相手を零点に抑える、最悪でも1点まで、というのが役目であり、プライドであり、田中の場合は破格の給料取りの仕事である。田中は高校時代からそういう教育を受けてきただろうし、楽天でもそう自覚していたはずである。

   公式戦の連勝は楽天時代の12年8月26日、日本ハム戦から始まった。このシーズンは4連勝で終わり、昨年は24勝で28連勝とし、今年は大リーグで6連勝。昨年の巨人との日本シリーズで負けているが、ポストシーズンということで連勝とは切り離している。

「田中は、やはり人間だった」

   これは米国の新聞が報じたものだ。むしろこの表現で田中の素晴らしさをたたえているように思える。

   現在のヤンキースはエースと予定していたサバシアが故障するなど、先発陣が次々と戦列を離脱。開幕2か月にして火の車状態に陥っている。頼みはベテラン黒田と田中の日本人コンビで、とりわけ若い田中への依存度は高い。

落ちる球の多投による疲労が懸念材料

   田中に心配されるのは疲れに襲われたときである。投球を見ていると、テクニックで抑えている。無駄球を省き、スタミナ消耗を抑えているのだろう。落ちる球の多投はそのためと思われる。ロングランのペナントレースを読んでいるのだろうが、落ちる球の使いすぎは肩、ヒジに負担がかかり、その疲れが必ず来る。

「(連勝ストップは)期待されたファンに申し訳ないと思っている。自分でも悔しい」

   田中は負けても気遣いを示した。こういうところが多くのファンの支持を集めている理由だ。連勝ストップが田中ショックを周囲に与えたことは間違いないが、負けたことのショックをもっとも受けたのは田中自身のはずである。

「次の登板が本当に大事だ」

   連勝が途切れたことは最難関のプレッシャーから解放されたともいえる。力強さにうまみを加えた田中本来の攻めのピッチングが見られることだろう。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)