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ヤフー社員が自社記事を「しょーもない」 執筆者が激怒、会社から厳重注意を受ける

   ヤフーの社員が自社ニュースの記事を「しょーもない」とフェイスブックを通じて批判したところ、記事執筆者が怒って投稿を止めると宣言する騒ぎになっている。ヤフーでは、この社員を厳重に注意したことを取材に明らかにした。

   ヤフー・ニュースでは、ジャーナリストやブロガーらが「個人」の項目に記事を寄稿している。

永江一石さんが記事の執筆を止めると怒る

ヤフー・ニュース上で宣言
ヤフー・ニュース上で宣言

   今回、記事を執筆したのは、ブロガーとして知られるITコンサルタントの永江一石さんだ。永江さんは、2014年6月6日に「白鵬を『日本人みたいだ』というのは失礼すぎると思う」というタイトルで書いた。

   記事では、優勝の一夜明け会見を欠席したわけをブログで説明した白鵬について、「素晴らしい。まるで日本人のようだ」と称賛することへの違和感を明かしている。批判を覚悟で妻をかばえるような日本人はいないのでは、というものだ。

   これに対し、ヤフーでサービスマネージャーをしている男性社員が、フェイスブックを通じてコメント欄に「しょーもない記事だ」と書き込んだ。永江さんは驚いて、「は?Yahoo!の人がYahoo!に書いたのをしょーもないと??」とコメントを返した。しかし、この社員はさらに、「個人の見解です。実にしょーもないですね」と批判を続けた。

   永江さんは発言に怒って、「こういう人がいる会社とつきあいたくないのでYahoo!のオーサーやめますわ」と記事のコメント欄で宣言した。社員が「繊細な人だ」と言うと、「あなたの社会常識を疑うよ」と反論した。

   翌7日には、こうしたやりとりを理由に、ヤフーへの投稿を止めることを明らかにした別の記事をヤフー・ニュースにアップした。

   そこでは、何が「しょーもない」のか言わなければヘイトコメントでしかないとして、「勤務先と役職を一般公開してのコメントですから社会常識では『個人的な』では済まないでしょう」と書き込みを批判している。

ヤフー「結果を配慮したうえで発言するべき」

   投稿を止めると宣言した永江一石さんの記事は、ネット上で反響を呼び、フェイスブックでは、2014年6月9日夕現在で4000件ほどもシェアされている。意見としては、賛否両論が出ているようだ。

   ほかのヤフー寄稿者も、次々に今回のことを記事に書いている。

   企画家、戦略PRプロデューサーとして知られる片岡英彦さんは、「『個人』の発言であったとしても、社に対しては人気オーサーを失うという『不利益』を与えたものと思われる」と記事で指摘した。そして、「勤務先であるYahoo!JAPANに不利益を与えた場合には、(社内における)責任は負うべき」だと言っている。

   一方、著名なブロガーで投資家の山本一郎さんは、ヤフー社員が自社の執筆者を批判したのは望ましくないとする一方で、「賛同であれ反発であれ一通りの意見が自分の書いたことや言ったことで返ってくることはとても大事なことだと思う」ともした。そして、「そんなことでいちいち怒るかなあ、普通。場を提供してくれて、それなりに継続してきた取り組みを解消するほどに」とも書いている。

   永江さんはブログなどで、7日中にヤフーから連絡があり、そこで「処分は求めない。しかしなにがしょーもないのかは明確にして欲しい」と伝えたことを明らかにした。

   ヤフーの広報室では、取材に対し、こう説明した。

「個人の発言は自由であり制限はできませんが、結果を配慮したうえで発言するべきでした。結果については、各自が責任を持たなければいけません。社員が取引先を批判したことは、思慮が足りなかったと思っています」

   本人には厳重に注意し、今後の社内対応を検討しているとした。

   何が「しょーもない」のかについては、本人に確認していないという。永江さんについては、ビジネス上のやり取りなので公にはできないが、ヤフー・ニュースの担当者が対応していると説明している。