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「ASKA被告の体液が尿に混じった」 栩内香澄美被告の無罪主張は荒唐無稽なのか

   ASKA被告(56)の覚せい剤事件で、愛人の栩内(とちない)香澄美被告(37)が、独自の論理で無罪を主張している。

   栩内香澄美被告については、逮捕された2014年5月17日の時点で、尿検査や毛髪鑑定ともに陽性との結果が出ている。

「鑑定のミスか、第3者が知らない間に自分に使用」

   しかし、栩内被告は、東京地裁で7月22日にあった初公判で、鑑定のミスか、第3者が知らない間に自分に使用したと主張した。その第3者とは、ASKA被告のことを指すらしい。

   栩内被告は、ASKA被告の覚せい剤使用は知らなかったとして、尿検査については、ASKA被告の体液が尿に混入した可能性を主張した。逮捕された日は、ASKA被告と避妊せずに性行為をしたことを告白してまで、自らの潔白を訴えた形だ。

   また、毛髪鑑定については、汗かきのASKA被告の汗が毛髪についたためではないかと言っている。6月7日の2回目鑑定では、陰性との結果が出ていることを挙げ、もともと覚せい剤は体内に存在しなかったと強調した。

   初公判では、検察、弁護双方が、覚せい剤を使ったか否かの状況証拠まで互いに出して、自らの正当性を訴えている。

   検察側は、栩内被告の友人が証言したこととして、一晩踊って朝起きたときにアザができていた、宿泊先の廊下で立ったまま寝ていた、といった異常な行動を挙げた。これに対し、弁護側は、栩内被告がASKA被告へのメールで、覚せい剤を使用しているなら交際しない、週1回の簡易検査をしなければ旅行を止める、などと伝えていたことを無実の証しだとしている。

   しかし、専門家がマスコミ取材に答えた内容は、栩内被告の主張に否定的なものが多い。

有罪なら、懲役6か月、執行猶予4年か

   警察での鑑定経験がある法科学研究センター所長の雨宮正欣さんは、フジテレビ系番組「ノンストップ!」への出演で、栩内香澄美被告の主張が通る可能性は低いと指摘した。

   尿検査については、体液に覚せい剤はごく微量残るが、それが尿に混入したとしても反応することはまずありえないという。また、毛髪鑑定は、十分に洗浄してからやるので、汗の中にごく微量が含まれていたとしても、取り除かれる可能性が高いとした。

   2回も毛髪鑑定したのは異例だが、覚せい剤の使用時期を特定するためで、基準値を超えなかったから陰性になっただけではないかとしている。

   ほかのテレビ番組や新聞報道でも、専門家らが雨宮さんと同様な見解を話していた。元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士も、マスコミ取材に対し、ASKA被告が自分の陰茎に覚せい剤を塗ったのなら尿検査で陽性になる可能性はあるが、現在までの証拠では弁護側が有利とは言えないと言っている。

   板倉宏日大名誉教授(刑法)は、J-CASTニュースの取材に対し、栩内被告の主張が認められて無罪となる可能性はあるものの、尿検査などの言い分については疑問が残ると指摘した。しかし、有罪になったとしても、ASKA被告ほどは量刑が重くならず、懲役6か月、執行猶予4年ぐらいの判決になるのではないかとみている。