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あなたの子どもがSNSで狙われている 顔写真や位置情報悪用した「個人特定」にご用心

   フェイスブックをはじめとする交流サイト(SNS)に、自分の子どもの写真を投稿する人は少なくない。「赤ちゃんが生まれた」「家族で誕生日のお祝い」「幼稚園でお遊戯」――。小さくて愛らしい姿は、見ていてほほえましい。

   だが、何気なく撮影した写真には位置情報が含まれていることがある。子どもの顔や、場所が分かる写真を繰り返し投稿した場合、SNSのプライバシー設定が甘いと個人情報が丸裸にされかねない。

スマホ撮影時、SNSでの公開時に位置情報はオフ

かわいいわが子の写真はたくさん投稿したいが...
かわいいわが子の写真はたくさん投稿したいが...

   かわいい息子や娘の成長ぶりを親しい友人に見てもらいたいとの親心からか、フェイスブックを見ると自分の日常を書く代わりに子どもの話題や写真だらけという人がいる。アイコンに子どもの顔写真を登録しているケースもある。

   ただ子どもの写真掲載は、少し注意した方がよさそうだ。アイフォーン(iPhone)などスマートフォン(スマホ)で撮影した画像は、Exif(イグジフ)と呼ばれる撮影日時や撮影状況の詳細が記録されている。重要なのは位置情報だ。GPS(全地球測位システム)機能を持つスマホであれば撮影時に設定を切っておかないと、どこで写真を撮ったかが分かるデータが組み込まれる。

   フェイスブックの場合、写真を投稿すると位置情報は自動的に削除されるようだが、システム側に不具合が起きて内容が漏れてしまう恐れがないとは言えない。また特定のソフトを使ってブログを立ち上げたり、一部ブログサービスを使ったりしている場合に、Exifがそのまま残る可能性があるという。

   写真の位置情報が消去される一方、フェイスブックでは投稿の際に、「誰と一緒か」「今どこにいるか」という情報を自分で追加できる。楽しい時間を友人と共有できる半面、悪用される恐れがないとは言えない。例えば、自宅近くの公園で子どもが遊んでいる姿を頻繁に載せたとしよう。ほかにも自宅マンションや近所の風景写真、しばしば訪れるレストランでの食事の様子、子どもが通う小学校でのスナップが並び、投稿者自らが位置情報を入力していたらとしたら――。運悪く近隣に子どもをねらう悪質な犯罪者が潜んでいたら、こうした情報を関連づけて個人を特定する機会をうかがっているかもしれない。

   小学生以下の子どもを持つ30~40代の男女数人に聞いてみると、SNS上での位置情報の公開には総じて敏感だった。スマホでの撮影時に「画像のGPS情報はオフにする」(40代男性・神奈川)、「めったに公開しない。行動範囲を悟られることもほとんど書かない」(30代女性・米国)、「位置情報は常時オフ」(40代男性・東京)という具合だ。SNS側のプライバシー設定についても、自分で制御できる範囲に常に気を配り、情報がどこまで公開されているかをチェックするという意見もあった。

「なるべく顔を出さない」「心配し過ぎたらどこにも連れていけない」

   子どもの顔がはっきり写った写真を投稿するかどうかは、判断が分かれた。「なるべく出さない方がいいと考えている」(30代女性・東京)、「後ろ姿などなるべく自然な形で顔が写らないように載せる」(40代男性・東京)という意見に対して、「他人に自分の子どもを見られることをそこまで心配していたら、どこにも連れて行けない」という指摘もあった。写真を公開したら悪用される、と極端に心配するのは疑問だという。

   一方で、排除可能なリスクは極力取り除くという姿勢は共通していた。まず情報公開の範囲を制限し、全くつながりのない人は自分のページを直接閲覧できないようにする。また写真に載っている人が誰かを特定する「タグ付け」を相手に求められたら拒否する。自分以外が撮影した写真にタグ付けされると、「いつ、どこで何をしていた」が自分の意図しないところで第三者に漏れてしまう。友人家族と一緒に撮った写真をSNSに投稿する際、相手の子どもが写っていたら掲載の可否を親に確認するのもマナーのようだ。長年音信不通だった人から突然SNS上での「友達申請」が来ても無視する、必要以上に友人登録を増やさないとの回答も出た。最初から「家族のことを知られてもいい親しい人」だけに範囲を限定しておくというわけだ。

   こうした自衛策をとっても、完璧にリスク回避できるわけではない。公開対象を友人だけに絞ったとしても、その友人が第三者に向けて自分のSNSの投稿を共有すれば、子どもの写真が「知らない人」の目に触れるケースは十分にあり得る。ポイントは、こうした状況を理解したうえで、どこまでなら載せても問題ないか、各自が判断力を磨く必要がある。「そもそもSNSを辞めれば不安は解消されるではないか」との意見もあるが、取材した人たちは「あまりに極論」と否定的だった。