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トルコリラや豪ドル、安値圏新興国通貨は買いなのか FX「スワップ」狙いでじっくり待つやり方もある 

   オーストラリア(豪)ドルやニュージーランド(NZ)ドル、南アフリカランド、トルコリラといった新興国通貨が、外国為替証拠金(FX)取引に投資する投資家のあいだで注目されている。

   FXに投資する投資家の多くは、情報が入手しやすい米ドルやユーロへの投資に積極的だ。しかし、FX取引で得られる利益の一つである「スワップ」を狙っていくのも一つのやり方。たとえ為替差損が発生しても、じっくり待てばプラスになる可能性があるのだ。

スワップとは、2つの通貨の金利差相当額のこと

   FX取引で得られる利益の一つに、「スワップ」がある。スワップとは、2つの通貨の金利差相当額のこと。通貨にはそれぞれの国が定めた政策金利がある。たとえば日本の金利を年0.1%とすると、1年間保有すれば0.1%の利子が付く。一方、豪州の政策金利は2.50%。日本と豪州の金利差は2.40%だ。

   FXでは低金利の通貨を売って高金利の通貨を買い、そのポジションを維持すると、維持したポジション金額と期間分のスワップを受け取ることができる。

   たとえば、豪ドルを100万円で1万豪ドル買った場合、スワップが1万豪ドルあたり1日50円だったとすると、仮に1年間スワップが変わらなければ、1万8250円を受け取ることができるわけだ。

   FX取引といえば、売買益に目を奪われがちだが、スワップ戦略はじっくりと続けられるFX取引ということらしい。マネースクウェア・ジャパン チーフストラテジストの貴堂素明氏は、「これもFXを利用した資産運用の一つのやり方です」と話す。

   ただし、スワップは投資家側が損することもある。低金利の通貨を売って高金利の通貨を買えば、その金利差がもらえるが、逆に高金利の通貨を売って低金利の通貨を買い、そのポジションを持っているとスワップを毎日支払わなくてはならない。たとえば、現在の金利情勢では、外貨を売りから入って円を買った場合には、スワップを支払うことになる。

   また、スワップはFX業者によっても微妙に違う。同じ通貨ペアでも、A社は40円だが、B社は50円といった具合だ。

トルコリラは過去最安値圏を推移

   とはいえ、現在、日本や米国、ユーロ圏などが超低金利にある半面、一般に資源国や新興国の政策金利は相対的に高い傾向にある。豪州やNZ、南アフリカ、さらにトルコも高金利だ。FX投資家が、こうしたスワップに妙味がある資源国や新興国の通貨に期待を寄せているわけだ。

   一方で、先進国通貨に比べて価格変動が大きい新興国通貨は、FX投資家にとって為替差益を得るチャンスが大きいが、損するリスクも高いため、下落リスクを抑えるには安値を拾うことが重要であり、言い換えれば、為替差益も期待できるということになる。

   前出のマネースクウェア・ジャパンの貴堂素明氏は、「高いスワップが得られれば、たとえ一時的にせよ為替差損を出したとしても、将来それをカバーすることができるかもしれません」と話す。

   スワップと為替差益の両方を狙える新興国通貨だが、なかでも最近注目されているのがトルコリラだ。

   親日国としても知られるトルコの政策金利は8.25%と、豪州やNZなどよりも高い。「インフレ率が高いことは経済にとっては弱点になりますが、それは裏を返せば高金利政策を維持し続けなければならないことでもあります」と、貴堂氏は話す。

   トルコリラが史上最安値(40円18銭)を付けたのは2011年7月。貴堂氏は「過去10年のスパンで見れば、現在の価格帯は引き続き安値水準にあります」という。過去最安値圏内で推移し、今後も高い政策金利が見込める。超低金利の日本円との金利差は大きく、しばらくは高いスワップ収益が狙える通貨といえるようだ。