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白票投票呼びかけるサイトがネットで話題 狙いも、運営元も分からないミステリー

   この数日、「黙ってないで、NO!と言おう。」という名の、選挙での白票投票を呼びかけるサイトがネット上で話題を集めている。

   運営元や問い合わせ先などは明記されず、サイト末尾に「日本未来ネットワーク」と書かれているだけだ。いったい誰が、何のためにサイトを立ち上げたのか、現状ではまったく分からない。

「投票場に行って白票を投じましょう」

話題を集める「黙ってないで、NO!と言おう。」
話題を集める「黙ってないで、NO!と言おう。」

   サイトは「投票所に行って、何も書かない『白票』を投じるのは投票したい立候補者がいないという意思表示です。その1票にも、今の社会を変える力があります」と主張。その上で、

「入れたい人がいない、誰に入れていいのかわからない、支持する政党がない、政党は支持するが候補者を支持する気になれない、この思いを政治家たちに伝えましょう。その思いを込めて、投票場に行って白票を投じましょう。この誰にでもできる、簡単な1人ひとりの行為の積み上げが、国を動かす大きな声になります」

と白紙投票を訴えている。

   漫画も掲載され、当選した政治家が「まさかこれって私に対する不信任票?」と白票の多さに困惑する様子が描かれている。そのほか、ネット上にあるものを加工した画像なども散りばめられ、なかなか手の込んだ作りになっている。

   はたして誰が、いつ、何のために立ち上げたものなのか。

   「日本未来ネットワーク」をキーワード検索しても、このサイトに関するものばかりが表示され、どういう組織、団体なのかはまったく分からない。

   サイト立ち上げの時期については、何者かがドメイン「mirai-senkyo.com」を2014年11月13日ごろに取得したとみられ、安倍晋三首相が衆院解散を発表した18日よりも早く動きだしていたようだ。その一方、ツイッターアカウント「日本未来ネットワーク」が初めてツイートしたのは25日。この間にサイトが立ち上げられたとみられる。

   サイトでは特定の政党や候補者を支持したり、関係があることを示したりはしていない。しかし「アメリカのように2大政党が競り合うより、安定した与党が変革を重ねるほうが国民性に合っていると思われる日本」という記述があり、必ずしも政治的に中立な立場にこだわっている訳ではないようだ。

ツイッター拡散のため広告サービス利用か

   28日現在、サイトに関して7000以上ツイートがされている。しかし、その内のかなりの部分が、ツイートすることでユーザーにポイントが貯まり、換金できる広告サービスを通じて行われている。文面には「選挙です。支持する政党・候補者がいないし、よくわからない!そんな人のモヤモヤを解決する方法とは!?あなたのその思いを発信することで日本が変わります!」という定型文が設定されている。

   こうしたサービスに「日本未来ネットワーク」側から応募していたとするならば10万円以上の出稿料が必要だ。なぜ経費をかけてまでサイトの存在を拡散したいのか、謎は深まるばかりだ。

   法務省によると、白票は無効票の1つとして総投票数に含まれる。実際に14年3月の大阪市長選では、当選した橋下徹氏の約37万票に対し、白票は約4万5000票が投じられ、2位以下の候補の得票よりも多かった。当時の新聞各紙も白票や無効票の多さに注目し、前職・橋下氏への不信任として取り上げた。

   しかし、白票がいくら投じられようと選挙結果が無効になることはない。三宅雪子元衆議院議員もツイッターで「貴重な権利を行使しないのは個人の勝手です。批判もしません。関知しません。ただ、特に影響力がある方は、白票や棄権の呼びかけはすべきでないと考えます」と否定的な見方を述べている。そのほか、今回の呼びかけには疑問を持つ人は少なくない。

   日本未来ネットワークに、サイトについて取材を申し込んだが、28日18時現在、回答はない。