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「支持政党なし」という名の政党が登場 比例北海道から出馬、特徴は「政策なし」

   世論調査の支持政党を聞く項目で、最も割合が多くなることがある回答が「支持政党なし」だ。今回の衆院選(2014年12月2日公示、14日投開票)では、この現象を逆手にとった政党が出現し、話題を呼んでいる。

   その名も「支持政党なし」。肝心な公約についても「党としての政策なし」と訴えている異色の政党だ。

法案ごとの賛否をウェブで募り、議場での投票行動を決める

政治団体「支持政党なし」のウェブサイト。比例北海道ブロックに候補者2人を擁立している
政治団体「支持政党なし」のウェブサイト。比例北海道ブロックに候補者2人を擁立している

   ここ数日で話題が広がっているのは、政党「支持政党なし」。総務省のウェブサイトによると、比例北海道ブロック(定数8)に届け出ており、略称は「支持なし」。佐野秀光代表ら2人を比例名簿に載せている。定数が8の北海道では候補者を2人擁立すれば比例代表で立候補できるため、北海道からの出馬を決めたという。

   選挙戦中盤の12月6日になってツイッターのアカウントが開設され、選挙カーの上から街頭演説する写真などが掲載されている。ツイートが拡散したため、ここ数日で急に知名度が上がったようだ。

   奇抜な名称はもちろん、「政策なし」というのも大きな特徴だ。党のウェブサイトによると、サイト上で法案ごとの賛否を募り、その賛否の多さによって議場での投票行動を決めるという。選挙公報では、この過程を、

「皆様の使者として議決権を行使しに行くだけ!」

と説明している。

議席獲得はまず無理

   代表の佐野氏は09年に政治団体「新党本質」を結成して衆院選に比例北海道ブロック、10年の参院選で東京選挙区、12年には団体名を「安楽死党」に変更して同年12月の衆院選に東京4区からそれぞれ立候補したが、いずれも落選している。佐野氏は、今回の出馬の理由を、

「先ずは『支持政党なし』という正直な民意を数字で選挙結果に表したいという単純な思いと、マスコミにも報道もされない、経歴も一流ではなくて政党の公認でもなく絶対に無理だと思われている中の常識を変えてみたいという気持ちもある」

とブログにつづっている。

   ただ、北海道新聞が共同通信と合同で12月7~8日にかけて行った情勢調査では、比例について、

「自民党が3議席をほぼ確保し、民主党は2議席、公明党は1議席を取る情勢だ。維新の党、共産党も議席をうかがっている。社民党、次世代の党は議席確保が難しい状況だ」

と分析しており、「支持政党なし」の議席獲得はきわめて困難な情勢だ。

   もっとも、特段の支持政党を持たない人は結構多い。解散直後の11月22~23日に道新が行った世論調査では、政党支持率は自民党(26.3%)、民主党(17.5%)の順に高く、元々の意味での「支持政党なし」は43.2%。現実には、この43.2%の票が新政党に投じられるとはいかないようだ。