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つんく♂が挑戦する「食道発声法」 どういう方法?歌えるようになるの?

   母校の近畿大学の入学式で喉頭がん治療のため声帯を全摘出したことを明かしたつんく♂さん(46)。その首には白いスカーフのようなものが巻かれ、終日それを外すことはなかった。おそらくそれは、永久気管孔を隠すためだったのではないかと囁かれている。

   永久気管孔というのは声帯を全摘出した際に首のつけ根の前の部分に開ける丸で、鼻や口から呼吸できなくなるため、この喉に開けた穴から呼吸をすることになる。

  • 首を見せなかった理由(画像はイメージ)
    首を見せなかった理由(画像はイメージ)
  • 首を見せなかった理由(画像はイメージ)

呼吸するための気管孔が首に

   2015年4月6日放送の各局のワイドショーはつんく♂さんの近畿大学入学式での様子と、今後の芸能活動などに関する特集を組んだ。つんく♂さんは喉頭がんを発症し、全声帯を摘出したわけだが、大阪国立がんセンターの調べによれば日本で喉頭がんになる人は年間3500人いて、うち10%が全摘出の手術を受けている。日本テレビ系「スッキリ!!」に出演した順天堂大学耳鼻咽喉科の横山純吉准教授は、

「喉頭全摘出の場合は呼吸をするための気管孔が首にあります。鼻で呼吸ができませんから匂いの支障も出てきます。声帯がありませんから今までのような声は出ません」

などと説明した。

   この気管孔とは何なのか。国立がん研究センターのホームページに掲載されている「がん情報サービス」によれば、咽頭や喉頭、その近くに病気があり治療のため喉頭をとり除かなければならない場合は、首のつけ根の前の部分に呼吸するための穴を開ける必要がある。この穴を「永久気管孔」と呼ぶと書いている。気管を前のほうに出して首の皮膚に縫いつけ呼吸をする入口をつくるもので、

「永久気管孔をつくれば喉頭を全部とった後も呼吸ができ、食事もできるようになりますが、声は出なくなり、首に穴があいたままになります」

   冷たい空気や乾いた空気、ごみが直接入らないように「エプロン」をかけなければならず、スカーフや大きめのハンカチを襟元に巻いている人も多いと説明している。入浴時など肩まで湯船に浸かってしまうと気管孔からお湯が入り溺れてしまうこともある。

   「スッキリ!!」に登場した近畿大学の広報担当者は、つんく♂さんは入学式をプロデュースするために大学を訪れた時からずっと白いスカーフのようなものを首に巻いていた、と語った。ネットでは、それはおそらく永久気管孔を隠すためだったのだろう、といった憶測が流れ、「きつすぎるだろ マジで同情するわ」などといった感想が漏れている。

「もう一度自分の声で」と意欲

   「声を捨てて生きる道」を選んだつんく♂さんだが、こうした状況になっても仕事への意欲は衰えてはいないようだ。近畿大学の来年の入学式のプロデュースを約束したほか、作詞作曲活動を続けていると報じられ、アイドルのプロデュースもパソコンやラインなどを使うことになるがこれまで通り行っていくのだという。そして「もう一度自分の声で言葉を発したい」と周囲に伝えているのだという。15年4月6日付けのスポーツニッポンの記事によれば、「食道発声法」の習得に取り組んでいるというのだ。「食道発声法」というのは口や鼻から空気を食道に入れ、それをゲップのように吐き出して発声するもので、この方法を修得すると嗅覚も戻り、すすり込みや鼻をかんだりできるようにもなるという。

   実は、つんく♂さんのスタッフに声帯を全摘出した人物がいてこの方法を習得し、電話での会話を難なくこなせるまでになったことに感銘を受けたのだという。早ければ1年間で習得でき、元のようには歌えないものの習熟度を高めれば歌うことも可能になるのだそうだ。