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男性会員270万人、女性会員1人の出会い系サイト 「女のふりするサクラ」になぜ1300万円も使ってしまうのか

   摘発されたサクラばかりの出会い系サイトには、千葉県警の調べで、10年間で延べ270万人もの男性が会員登録をしていた。しかし、気を付ければ、防げた詐欺被害であったようだ。

「○○だけど、知り合いの●●が彼氏と別れて、寂しがっている。こちらのチャットにいるから、よかったらよろしく」
  • 偽ラインサイトで誘導
    偽ラインサイトで誘導
  • 偽ラインサイトで誘導

アルバイトの男がやり取り相手に

   問題のサイトでは、ライン上でこんな内容のメッセージで誘って、チャットルームから自サイトに誘導していた。そのチャットルームも、ラインのロゴを無断使用して、ラインの公式サイトのように装っていた。

   サイト運営会社社長の男(43)ら8人は、偽のラインロゴを使った商標法違反(侵害行為)の疑いで2015年5月13日に千葉県警に逮捕され、うち男ら3人は6月3日になって、詐欺の疑いで再逮捕された。

   調べによると、男らは14年11月、運営サイトの1つ「e-フレンズ」の女性会員に成りすまして、都内の会社員男性(19)と別の男性(24)の会員2人にメッセージを送り、サイト利用料計9万円を騙し取った疑いが持たれている。今回は、ほかに運営会社の社員ら5人も同じ詐欺容疑で逮捕されている。

   女性会員との出会いは名ばかりで、登録は1人だけしかいなかった。男性会員がメッセージのやり取りをしていたのは、すべて約30人いたアルバイトの男だった。つまりほぼ完全なサクラサイトだったわけだ。

   運営会社社長の男は、3つの出会い系サイトをやりくりし、04年から14年までの10年ほどの間に、66億円も売り上げていた。

   被害者の男性会員には、1300万円ほども騙し取られていたケースがあった。県警のサイバー犯罪対策課によると、データベース上は59歳の男性で、メルアドを聞くだけで1万円、さらに自分のメルアドを教えると1万円かかるような徴収システムでお金を巻き上げられていた。

ネットで悪質サイトか調べるのが有効だというが...

   なぜこんなサクラサイトに騙されてしまう人が続出してしまったのか。

   千葉県警のサイバー犯罪対策課では、「59歳の男性もいたように、年齢も幅広く登録しています。女性と会えると思って、約束をしようとするようですが、どうして何度もやり取りしてしまうのかは、はっきりは分かりません」と話す。

   ラインを友達以外にも公開していると、電話番号で友達に追加されてメッセージが来るパターンで誘導されているらしい。サイト運営会社社長の男らは、偽のラインロゴを使ったチャットルームを開設した後の13年11月から14年10月までに約5万人を出会い系サイトに誘導し、この間に3億4000万円も売り上げていた。

   詐欺被害を防ぐには、ネットでサイトのことを調べてみることが有効だと、サイバー犯罪対策課は指摘する。

   千葉県在住の男性(36)は、「e-フレンズ」に入会金5000円を支払って会員登録し、その後不安になって、ネット上で検索をかけた。いくつかの対策案内サイトでは、e-フレンズが悪質であることが紹介されていた。また、その運営会社は、迷惑メールを送った特定電子メール法違反で総務省などから12年3月に措置命令を出されていたことも分かった。男性は14年1月、脱会したいと県警に相談し、それが捜査の発端となったのだ。

   なお、詐欺行為を知りながらアルバイトをした約30人については、県警が事情を聴いており、その関与度によっては立件することもあるとしている。