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弁護士ドットコム社長、参院選出馬も「社長辞めません」 政治ネタも扱うメディアの場合、いかがなものか

   法律相談ポータルサイトの「弁護士ドットコム」の元榮太一郎社長兼最高経営責任者(39)が、2016年夏の参院選に出馬する。

   元榮社長は、第二東京弁護士会所属の弁護士で、「弁護士ドットコム 」の創業者。多数のテレビの出演経験をもつ弁護士タレントとして活躍していることでも知られる。

  • 元榮社長が2016年夏の参院選に出馬!(画像は、「弁護士ドットコム」のホームページ)
    元榮社長が2016年夏の参院選に出馬!(画像は、「弁護士ドットコム」のホームページ)
  • 元榮社長が2016年夏の参院選に出馬!(画像は、「弁護士ドットコム」のホームページ)

来夏の参院選千葉選挙区に立候補

   自民党の茂木敏充選挙対策委員長は2015年6月13日のフェイスブックで、来夏の参院選千葉選挙区(改選数3人)では「現職の猪口邦子さん、新人の元榮太一郎さんの2人の候補を擁立予定である」ことを明かし、「厳しい選挙戦となると思います。一致結束して取り組んでいただければ」と激励した。

   一方、弁護士ドットコムは元榮太一郎社長兼CEOが次の参院選に立候補することについて、「代表取締役の異動はない」とするコメントを2015年6月15日に発表した。

   候補者に名乗りをあげた元榮社長率いる弁護士ドットコムは、「弁護士が身近な存在になるよう手助けすること」を目的に、無料のインターネット法律相談データベースや、時事問題を法律の視点で斬る「弁護士ドットコムニュース」といったコンテンツで、急成長した。

   2014年12月に東証マザーズに上場した際には、初値が公開価格(1230円)の3倍超となり、話題をさらった。また、15年4月には月間のサイト訪問者数が前年同月比2.1倍増の800万人を達成するなど、順風満帆。これも元榮社長の手腕の賜物なのだろう。

   そんな成長企業の社長が参院選に出馬することに、早くもインターネットでは、

「代表者が政治屋の合間に経営するベンチャーが成功するのかwww」
「とりあえず弁護士広告の規制は撤廃しろ、ということを言い出すのは確実なんだろうな。自分の商売につながるわけだから」
「商売のために魂売ったようなもんだと言われてもしょうがない」
「弁護士経由の政治家って多いけど、メディアの社長さんでもあるわけだからなぁ。いかがなものかな」

と、手厳しい声が少なくない。

   また、

「比例区なら社長業や弁護士業務と両立できるかもしれないが、選挙区は無理でしょう。そんなに甘くはないし、どこかのタイミングで(社長)交代でしょ」

といった見方もある。

「あらぬ疑いをかけられるリスクがあるのは当然のこと」

   弁護士ドットコムは2015年6月15日に、「当社は引き続き、すべての企業活動において、特定の政治的思想および信条に基づいた判断および活動を行うことは一切ありません」とのコメントを、社長続投とあわせて発表。インターネットに寄せられる「耳の痛い」声をけん制したとみられる。

   企業の経営者が国会議員に立候補するケースはめずらしくはない。たとえば、参院議員にはワタミの創業者だった渡邉美樹氏(自民党)がいるが、現在は経営の一線から退いている。また、松田公太参院議員(日本を元気にする会)はタリーズコーヒージャパンの創業者だが、すでに経営からは退いている。

   してみると、上場企業のトップと議員との「二足のわらじ」は、なかなか成り立たないようでもある。

   企業アナリストの大関暁夫氏は、上場企業のトップがそのまま国会議員を務めることになれば、「法律的には問題がないとしても、なにか利益誘導があるのではないかなどと、あらぬ疑いをかけられるリスクがあるのは当然のこと」と指摘する。

   メディアとしても、ネット世論をうまく政治に取り込めるなどと思われかねないだろうし、企業としてはそういったイメージがマイナスにもなりかねない。

   ただ、大関氏は「参院選までまだ1年以上ありますから、進退については時間をかけて、慎重に考えていくでしょうし、もしかしたら(「辞めない」発言で)ようすをうかがっているのかもしれません」とも話している。