J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

松嶋尚美の「牛乳有害」発言に批判相次ぐ 専門家も「科学的根拠に基づかない」とばっさり

   タレントの松嶋尚美さんがテレビ番組の中で「牛乳有害説」を披露し、ネット上で波紋を広げている。

   松嶋さんの持論は、人づてに聞いた科学的根拠の薄いもので、番組内で専門家にあっさり否定されてしまった。それだけに、ネット上では「なぜ調べもせずに信用してしまうのか」と呆れる声も多い。「牛乳有害説」はこれまでも度々流されてきた歴史があり、そのたびに議論になっている。

  • 松嶋さんの子どもは「コーンフレーク嫌い」に(画像はイメージ)
    松嶋さんの子どもは「コーンフレーク嫌い」に(画像はイメージ)
  • 松嶋さんの子どもは「コーンフレーク嫌い」に(画像はイメージ)

松嶋さんの子どもだけコーンフレークと「麦茶」を提供

   松嶋さんの発言が飛び出したのは、2015年7月7日放送のバラエティ番組「中居正広のミになる図書館」(テレビ朝日系)でのこと。2歳と3歳になる自身の子どもの育て方を語る際、「(子どもに)牛乳を飲ませていない」と告白、保育所や幼稚園へも牛乳を飲ませないよう申し入れていると明かした。子どもが牛乳を嫌いかどうかには触れておらず、あくまで自分の方針らしい。

   実際、幼稚園も園児の多くが牛乳でコーンフレークを食べる中、松嶋さんの子どもには麦茶を出しているようだ。そのせいもあるのか、「(子どもが)コーンフレーク大嫌いやねん」と語っていた。

   なぜ牛乳を飲ませようとしないのか。その理由について「牛乳を飲むと体内のカルシウムが尿で排出される」「乳製品を多く摂る欧米人が、骨粗鬆症になりやすい」など、人づてに聞いたという「牛乳有害説」を展開した。

   共演者も驚いた松嶋さんの「こだわり」だが、番組に出演した内科医・大竹真一郎さんはそれが科学的根拠に基づかないことを示した。

   牛乳を飲むと体内のカルシウムが排出される、との説を「たくさん摂りすぎたら尿と一緒に出る時もあるが、全部出ることはない」と否定。乳製品を多く摂ると骨粗鬆症になりやすい、との説も「もともと欧米人は骨粗鬆症になりやすく、牛乳が原因ではない」とはねのけた。指摘を受けた松嶋さんはたじろぎ、「(子どもは)小学校で勝手に(牛乳)飲むんじゃない?」と、それまでの態度を一変させたかのように見えた。

   このやり取りをうけ、掲示板サイトなどでは

「調べもしないで信用するな」
「人づてじゃなく、自分で勉強しようや...」

と松嶋さんを批判する声が次々寄せられた。

   ただ、数は少ないながらも

「自分なりに一生懸命な人なんだと思う」

と理解を示す向きもある。

繰り返し出てくる「牛乳有害説」

   「牛乳が健康に悪いか否か」という議論は以前から繰り返されてきた。少し前になるが2005年、外科医の新谷弘実さんによる「病気にならない生き方」(サンマーク出版)出版をきっかけに引き起こされた、「牛乳論争」は有名だ。

   後にベストセラーともなった同書の中で新谷さんは、牛乳は骨粗鬆症の原因になる、カルシウムを摂るために飲んだ牛乳がかえって体内のカルシウム量を減らす、などと警告。これに仁木良哉・北大名誉教授が「科学的検証ない」と反論し、日本酪農乳業協会(Jミルク)も新谷さんに公開質問状を提出するなど、大きな騒ぎとなった。

   最近では14年10月29日、英医学誌「ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル」が、「スウェーデン人を対象に調査したところ、牛乳摂取量の多い人は少ない人と比べて寿命が短く、女性では骨折が増えた」というスウェーデンのチームによる研究結果を発表し、ネット上で話題を呼んだ。

   新谷さんの説は、すでにさまざまな研究者から反論された。さらに、英医学誌も、調査対象としなかった民族では結果が当てはまらない可能性を示唆している。「牛乳有害説」は現段階では根拠薄弱と言えそうだ。

   ちなみに、公益財団法人「骨粗鬆症財団」(東京都中央区)も公式サイト上に、「『牛乳や乳製品が骨粗鬆症の原因になる』という情報は、科学的なデータに基づかない意見であると思われます」との見解を発表している。