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「恥ずかしい画像ばらまくぞ!」 スマホ使った「性的脅迫」被害広がる

   見知らぬ女と裸の画像をやり取りし、スマホから友人の連絡先を抜き取られた末、画像をばらまかれたくなかったら金を振り込めと脅される――。こうした新手の犯罪「性的脅迫」の被害が広がっていると報じられ、ネット上でも話題になっている。

「一人で○○○○したりします?」「あたしが手伝ってあげましょうか?」

   被害者の男性(25)は、出会い系サイトで知り合った「24歳女性」からラインでこんなメッセージを受け取り、スケベ心を募らせてしまう。

  • 安易なやり取りは禁物
    安易なやり取りは禁物
  • 安易なやり取りは禁物

女性は脱ぐシーンを見せ、今度は男性にも迫る

   男性のケースを紹介したのは、2015年7月19日に放送されたフジテレビ系情報番組「Mr.サンデー」だ。

   この「好意」に男性が喜ぶと、「女性」は、自分の写真を送るので保存して実行するよう求める。そのためのアプリをダウンロードしても写真などは見られなかったが、「ビデオ通話しませんか?」と持ちかけられる。女性が脱ぐシーンを見せ、今度は「顔が分かるように恥ずかしいところみせてよー^ ^」と男性に迫る。そこで、男性が浴室に入って顔と局部が一緒に映った映像を流すと、「女性」からのメッセージは一変した。

   送られてきたのは、なんと男性がスマホに入れていた友人の連絡先の画像だった。不正アプリで抜き取られていたわけだ。そして、次のメッセージで、「あなたの恥ずかしい動画も保存しました。これら全ての連絡先に貴方の動画を送信可能ですがどうでしょう?」と脅して動画の買い取りを求めたのだ。

   男性は、友人に恥ずかしい画像が出回ることを恐れてか、求めに応じて20万円を振り込んでしまった。

   こうした手口は、「sex(性的)」「extortion(脅迫)」を組み合わせて、「セクストーション」と呼ばれており、番組でもこの造語が使われた。

   放送後に、この耳慣れない造語はツイッターなどで話題になり、「セクストーションこわ」「セクストーションてなんだよ!」といった声が相次いだ。

犯人の男らは、中国のグループに雇われていた

   セクストーション(性的脅迫)については、5年前にアメリカで被害が広がり、その後、フィリピンや韓国で逮捕者が出るまでになった。13年ごろから日本でも被害が出て報道などで紹介されるようになっている。

   不正なアプリをダウンロードさせ、恥ずかしい映像を送らせるのが特徴で、千葉県警では14年4月、40代の男2人を恐喝の疑いで逮捕している。「Mr.サンデー」で紹介されたのは、この事件の被害者の1人だった。

   当時の報道によると、ほかに大阪府内の男性(29)や福島市内の男性(34)などを同様な手口で脅し20万円を振り込ませていた。犯人の男らは、中国のグループに雇われていたといい、分かっているだけで22人から計約350万円を振り込ませていた。声を上げられない被害者はもっと多いとみられており、男らは、中国に約500万円を送金していた。男2人のうち1人は、処分保留で釈放されたが、もう1人は恐喝罪などで起訴されて有罪判決を受けている。

   日本でも被害者が出てきたことから、独立行政法人「情報処理推進機構(IPA)」では、14年12月に性的脅迫に注意するようサイト上で呼びかけていた。IPAによると、14年は6件、15年は2月までに2件の相談が寄せられたが、その後は寄せられていない。

   しかし、神戸新聞や産経新聞によると、3月以降も兵庫県警には複数の男性から同様な手口で「数十万円を要求された」といった相談が寄せられているといい、水面下で被害は続いている可能性はありそうだ。