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毎年検診受けても乳がん発見できず 「異常に進行早かった」北斗晶の無念

   タレントの北斗晶さん(48)がブログに綴った6000字以上に及ぶ長文は、多くの女性たちに乳がんの怖さを改めて思い知らせるものだった。

   前日までテレビ番組に生出演し、明るい笑顔を振りまいていた北斗さんは、翌2015年9月23日、ブログで乳がんを公表。24日朝に右乳房を全摘出する手術を受けることを明かした。毎年欠かさず検査を受けていたにもかかわらず、気付いた時には腫瘍が直径約2cmになっており、さらにはリンパに転移している可能性もあるという。

  • 乳がんを公表した北斗晶さん(2007年撮影 写真:築田純/アフロスポーツ)
    乳がんを公表した北斗晶さん(2007年撮影 写真:築田純/アフロスポーツ)
  • 乳がんを公表した北斗晶さん(2007年撮影 写真:築田純/アフロスポーツ)

冬に「チクッとする痛み」、春に「引きつってる様な感じ」

   「私としても青天の霹靂で この数ヶ月 乳房を全摘出しなければならないという結果に心が付いて行けず...」――。北斗さんは、発見から手術に至るまでの複雑な心境を吐露した。

   ブログによれば、初めて異変を感じたのは2015年に入った頃だった。うつ伏せになり床に転がると「右胸にチクッとする痛み」があったという。だが、単に圧迫されたための痛みとしか考えなかった。

   一般的に、乳がん発症者の5~10%は遺伝性と言われているが、北斗さんの身内に乳がんになった人は1人もいなかった。また、毎年秋ごろには乳がん検査と婦人科検診を欠かさず受けていた。その安心感から、この時点では乳がんを疑わなかったのだという。

   次におかしいと感じたのは春。旅行先のサイパンで、鏡の前に立ち水着に着替えていると、「長年何気無く見てきた乳頭の位置が右だけ違って見えました。乳頭がセンターにない様に見え、引きつってる様な感じを受けました」という。

   不安に思った北斗さんは、目視したり指で触ったりしてみたが、しこりらしき感触がなかったため、「年齢によるたるみ」と判断した。後で分かったことだが、北斗さんの腫瘍は乳頭の真下近くにできていたため、自己チェックが困難だったようだ。

   そして夏に差しかかった頃、「右胸にチリチリする痛み」を感じた。そのため、定期健診している秋まで待たずに医者に相談し、細胞を調べてもらったところ、陽性反応が出たという。7月7日七夕の日のことだった。

「私の右胸の乳癌は、分かった時には既に約直径2㎝大の大きな腫瘍になっていました。残念ながら、進行が異常に早く1年間でここまで大きくなってしまった様です」

しこり1cmになるまで一般的には「7~8年以上」

   厚生労働省(がん検診に関する検討会)の指針では40歳以上の女性に、2年に1度の乳がん健診の受診を推奨している。

   日本乳癌学会サイト等によれば、乳房にがん細胞が生じてから1cmのしこりになるまでには一般的に7~8年以上を要するとされているが、1cmのがんが2cmになるのには1年半ほどと言われている。1cm以下のがんは診断が難しく、「早期の乳がん」は2cm以下のものを指すことから、2年に1度が検診の目安となっているようだ。ただ、可能であれば毎年受診することが理想だろう。

   がんの進行には当然、個人差がある。そのため厚労省等では月1回の自己検診も合わせて推奨し、異変を感じたらすぐに医者に相談するよう呼びかけている。なお、しこりは1cmくらいの大きさになると自己検診で分かると言われている。

   その上で、北斗さんの告白は「自己検診、定期検診をしていれば絶対に安心」ではないことを今一度考えさせるものだ。

   たとえ毎年検診を受けていたとしても、しこりが分かりにくい場所にあったり、進行が早かったりするケースがある。さらにその結果、乳房全摘出を余儀なくされることも。

   「乳癌の恐さや乳頭の真裏近くに出来た癌は自分では確認しにくい事、どんな症状で異変に気がついたのか」を大勢に知ってもらうため、あえて乳がんを公表したという北斗さん。日本で一生のうちに乳がんを患う女性は12人に1人(国立がん研究センターがん対策情報センター2010年データ)、そして乳がんのため亡くなる人は年間1万人以上にのぼっており、決して他人事ではない。

   北斗さんはブログの最後で「これだけは言わせてください」として、

「女性の皆さん、若かろうが年を取っていようが乳癌検診に行ってください!乳癌の専門医にしか分からない自分では直視出来ない、触っても分からない乳癌の位置もある事を、このブログを読んでくださった皆さんにも知ってもらいたいです。毎年検査していても1年で進行の早い癌だと乳房を全摘出しなければならないほど大きくなってしまう癌もあるんだという事を知って下さい」

と呼びかけ、身体の小さな異変を見逃さないよう女性たちに強く訴えた。