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藤井教授が「諸般の事情」で番組一時「休養」 朝日放送のBPO審査問題とは関係ないのか

   自民党候補者の公約が優位になるよう番組内で働きかけがあったとして、大阪維新の会が朝日放送(大阪市)の審査を放送倫理・番組向上機構(BPO)に申し立てた。ネット上では、番組のあり方を巡って論議になっている。

   大阪維新が問題にしたのは、コメンテーターの藤井聡京大大学院教授が送ったとみているメールだ。

  • BPO申し立て巡って論議に
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藤井聡教授「きゃつらは都構想しかない」と作り替え求める?

   大阪府知事・市長選(2015年11月22日投開票)の自民党推薦候補者らあてになっており、メールでは、レギュラー出演中の情報番組「おはようコールABC」でのことが書かれていた。

   候補者を陰から応援するとしたうえで、維新と自民の公約が書かれたパネルの文面をスタッフに作り替えさせたというのだ。具体的には、「都構想VS大阪会議、と対比されると、どうしても、大阪会議がしょぼく見えてしまう」として、大阪会議の代わりに「与党の力+地域間連携」としたという。

   また、「維新は姑息にも、都構想を公約の6番目にして小さく扱おうとしている」「やっぱり、きゃつらは都構想しかないんだ、というところを白日の下にさらす必要がある」と書き、パネル作り替えでそれが成功したともあった。

   大阪維新では、こうした内容は、「政治的に公平であること」とした放送法第4条に違反するとして、BPOに10月16日付で審査を申し立てたことをホームページ上で明らかにした。メールは、「信頼し得る者から入手した」という。

   内閣官房参与もしている藤井教授は、都構想への反対を明言しており、度々維新側とトラブルになっている。維新代表の橋下徹大阪市長は、中傷されたと京大総長の見解を求めたり、朝日放送に藤井教授の出演自粛を迫ったりもしていた。一方の藤井教授も、橋下氏をヒトラーにたとえて、「言論封殺だ」などと対立する姿勢を示していた。

   維新が審査申し立てをすると、藤井教授は、ホームページ上で反論を始めた。

「スタッフが分かりやすい文言を考え、プロデューサーがOK」

   メールについては、自らが送ったものか明言しなかったが、藤井聡教授は、コメンテーターが意見を言っても、番組全体が公平であればいいと指摘した。そして、大阪維新の会が審査を申し立てたことについて、「不当な言論弾圧である疑義が濃厚」と強く批判した。

   また、維新がメールを得たとしたことについて、何らかの法に触れる疑いが強いともしている。

   一方、朝日放送の別の情報番組「教えて!ニュースライブ 正義のミカタ」では10月17日、レギュラーコメンテーターの藤井教授がしばらく番組を休むことを放送中に告知した。その理由については、「諸般の事情」と説明した。

   朝日放送の広報部では、藤井教授が休むことについて、ダブル選挙の投票日まで1か月ほどになることから、本人と話し合いをして決めたと取材に答えた。以前から検討しており、BPO申し立てとは関係ないという。

   維新から放送法違反とされたことについては、「政治的公平性に十分配慮したもので、問題はないと考えております」と否定した。13日放送の番組で公約パネルを出したが、スタッフが最終的に分かりやすい文言を考え、プロデューサーがOKを出したという。藤井教授の意見で変えたことはないとしている。

   メールの内容については、ネット上で、様々な意見が出ている。

   維新の主張に同調する向きとしては、「このメールの内容のどこが中立なん?」「藤井氏も調子に乗りすぎたね。ついに、一線を超えちゃった」といった声が出た。一方で、「橋下はまたメディアに圧力か」「自粛措置こそをBPOが問題にすべきなんじゃないの?」といった維新に批判的な意見もあった。

   なお、BPOでは、放送倫理検証委員会は、申し立て制を取っておらず、番組内容を自主的に判断して審査しているという。次回は11月13日に開く予定だが、何を取り上げるかはそこで決めるとしている。