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横浜駅は「サグラダ・ファミリア」を超える「未完の駅」になるのか 「本家」は2026年に完成、先を越される

   かつては「完成まで300年はかかる」と言われていたスペイン・バルセロナのサグラダ・ファミリア教会が2026年にも完成する見通しになった。技術革新で工事にスピードが大幅に上がったのがその理由だ。一方で、工事がいつまで経っても終わらないことから「日本のサグラダ・ファミリア」として知られるのが横浜駅だ。

   2020年には西口に新ターミナルビルが完成するが、周辺の整備計画は2029年まで続く見通しで、いつの間にか「本家」に先を越される形になった。

  • 「本家」サグラダ・ファミリアは2026年に完成する
    「本家」サグラダ・ファミリアは2026年に完成する
  • 「本家」サグラダ・ファミリアは2026年に完成する

サグラダは3Dプリンターなどで300年工期を大幅に短縮

   サグラダ・ファミリア教会はスペイン・カタロニアの建築家、アントニ・ガウディの未完作品として名高い。着工は1882年で、1980年代には「完成には300年はかかる」と言われてきた。ところが、現地メディアの報道によると、建築責任者が2015年10月21日、16年か17年には未完成の6本の塔の工事に着手し、ガウディ没後100年にあたる26年に完成予定だと発表した。

   2026年に完成するということは、工期がかつての想定の半分になったということだ。この背景には、3D解析や3Dプリンターによるシミュレーションといった技術革新で工事が大幅に加速したことがある。

   対する横浜駅が今の場所に移転してきたのは関東大震災から5年が経った1928年のことだ。当時は今のJR東海道本線と東急東横線しか乗り入れていなかったが、今の横浜駅に乗り入れているのはJR東日本、東急、京急、相鉄、横浜市営地下鉄、みなとみらい線を運行する横浜高速鉄道の6社。これらの会社の乗り入れが決まるたびに、ホームや通路の増設工事が繰り返されてきた。特にこの10年ほどが動きがめまぐるしい。04年には、みなとみらい線が開通。これにともなって東急東横線の横浜-桜木町間が廃止され、高架上にあった東横線のホームが地下に移転した。06年には京急線のホームの構造が変わり、10年にはJR東日本の横須賀線、湘南新宿ラインの拡張工事が終わった。

横浜駅は2029年に「ひと段落」するが、最終形かは疑問

   今でも西口ビルの建て替え工事が進行中だ。2020年には地上26階、地下3階の建物が開業予定だが、それ以外にも西口と繁華街の鶴屋町を結ぶ鶴屋橋の架け替え工事や、東口のステーションオアシス地区の再開発が控えている。東口の再開発では、羽田空港や成田空港行きのバスが発着するYCATや、みなとみらい21地区とのアクセスを改善する。

   横浜市は09年に「エキサイト横浜22(横浜駅周辺大改造計画)」を策定している。この計画は、街づくりの大まかな指針を定めており、「横浜駅周辺の概ね20年後のまちの将来像を見据え」て策定されている。仮に計画のとおりに整備が進んだとすれば2029年には「ひと段落」することになるが、これが「最終形」かどうかは分からないという。

   横浜駅は、その時点で移転から100年を超えている。「未完の駅」といってもおかしくない。