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ツイッターに400人以上の個人情報晒す 勤務先のセキュリティ会社が調査、謝罪

   セキュリティソフト会社「エフセキュア」日本法人の社員とされる男性が、インターネット上で400人以上の個人情報を「晒した」として波紋を広げている。

   男性は、漫画家・はすみとしこさんのイラストを「もてはやした」人物を次々とリスト化。これがネット上で大きな批判を呼ぶこととなり、2015年11月4日にはエフセキュアが公式コメントを発表する事態に至った。

  • エフセキュアがコメントを発表(画像は公式サイトのスクリーンショット)
    エフセキュアがコメントを発表(画像は公式サイトのスクリーンショット)
  • エフセキュアがコメントを発表(画像は公式サイトのスクリーンショット)

「レイシストをしばき隊」(現C.R.A.C.)の一員を名乗る

   問題視されたのは、「レイシストをしばき隊」(現C.R.A.C.)の一員を名乗る男性のツイッターアカウントだ。

   同アカウントは11月1日、はすみさんがFacebook上で公開したイラストに「いいね」やコメントを付けたとされるユーザーを「下衆な絵をもてはやしている下衆な連中」と批判し、400人以上の個人情報をリスト化して公開した。

   はすみさんは10月、難民を中傷するようなイラストをFacebookに投稿して国内外で物議を醸した。日頃から「プロパガンダ漫画家」を名乗っており、最近でも「帰化」「在日」「シーシェパード」などをテーマにしたイラストを発表していた。男性はこうしたイラストを支持する人々に「制裁」を加える意味で、今回の行動に出たとみられる。

   男性の行動は大きな注目を集めると同時に、批判の声も相次いだ。リストには氏名はもちろん、居住地、出身校、勤務先まで盛り込まれていたため「他人の個人情報をネットで拡散するのは問題では」という声も寄せられた。

   すると男性は「FacebookのTLで自分が公開している情報をまとめただけのもの」だとし、問題ないとのスタンスを示した。

   しかしその後、男性の身元特定が進められたことで事態が急展開する。ネット民の「捜査」により、男性がセキュリティソフト会社「エフセキュア」のマーケティングマネージャーである可能性が浮上したのだ。これが事実であれば、個人情報等を保護するセキュリティ会社の社員にあるまじき行為だとして、批判の機運はさらに高まった。

「当該社員による重要データ等へのアクセスは行われていない」

   加えて、個人情報の入手手段についての「疑惑」も持ち上がった。リストに掲載された1人が「私が現在非公開にしている情報が、このリストにおいて公開されているので削除をお願いします」とコメントしたことがきっかけだ。エフセキュアはFacebookと提携していることから、ネット上では「会社のシステムを不正使用して個人情報を集めたのでは」として大騒ぎになったのだ。

   もっともこの文面を見る限りでは、削除依頼している情報がもともと非公開設定だったのか、リスト公開後に非公開設定にしたのかは分からないが、ネット上では前者だと受け取られたようだ。

   炎上状態が続く中、男性は突然アカウントを削除した。11月3日、カントリーマネージャーが本件を把握したとのツイートを投稿してから間もなくのことだった。

   そして翌4日には同社が公式サイト上で

「エフセキュアは、社員の行動規範には厳しい基準を設けており、本件を非常に重く受け止めており、現在この件について社内調査を進めております」「今回の件により、皆様に多大なご心配をお掛けし、心よりお詫び申し上げます」

とのコメントを発表。

   また、「当該社員によるエフセキュア重要データ等へのアクセスは行われておらず、本件によるお客様へのエフセキュアのサービスやデータに影響はございません」とも説明しており、エフセキュアの社員であることを事実上認めた形だ。

   J-CASTニュースでは「重要データ等へのアクセス」がFacebook上の非公開設定情報を指すのかなどを確認するため、5日に取材を申し込んだが、「本件に関し、現在、社内調査を進めており、コメントは差し控えさせて頂いております。今後、新しい情報が分かり次第、弊社ウェブサイトでご報告致します」として応じてもらうことはできなかった。

   なお、この男性は取引先の担当者が「反原発」「選挙で共産党に投票した」ことなどが分かった際に「今後優先的に発注出します」「多めに発注したるわ」といったツイートを投稿していたことも分かっており、同じく問題視されている。

   騒動は今しばらく続きそうだ。