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「魚の体脂肪計」が話題 脂のノリも一目瞭然

   「このブリ、脂がのっていておいしい」――。鍋料理などで魚を食べる機会も増える冬の時季。そんな魚の脂ののり具合を測る「魚の体脂肪計」が話題だ。

   おいしさと密接な関係のある「脂のり」を消費者にわかりやすく伝えることができるほか、漁業関係者からは「魚のブランド化に生かせる」と注目を集めている。

  • 魚のうまさは「脂のり」で決まる!?
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魚を傷つけず、わずか3秒で体内の脂肪を測定

   魚を買うとき、脂の乗り具合を気にする人は少なくないはず。しかし、その判断は魚を見たときの印象だったり勘に頼ったり、経験値によるところが大きいのではないだろうか。

   そんな魚の脂のりを「数字」で表すことができる、魚専用の体脂肪測定器が話題を呼んでいる。その名も、魚用品質状態判別装置「フィッシュアナライザ DFA100」。兵庫県明石市のはかりメーカー、大和製衡が長崎大学水産学部の村田昌一教授らの研究グループと共同開発。魚の体脂肪率を、簡便・迅速・高精度に測定できる。

   人が使う体脂肪計と同じように、脂と水の電気伝導率の違いを利用して体内の脂肪を測る仕組みで、微弱な電流を流して脂肪率を求める。電流が流れにくいほど、脂肪率が高いと判定。魚の場合は電流の流れにくさと脂肪率との関係が種類によって違うため、約3年をかけて実際に多くの魚の脂肪含有量を測定し、電流の流れにくさとの関係を割り出したという。

   測定器は片手で簡単にもてる大きさ。魚の背びれ近くに電極を軽く押し当て、ボタンを押すと3秒ほどで脂肪率を表示する。

   アジやサバ、イワシ、サンマ、ブリ、マグロ(背、腹、尻、切り身)の脂肪率が測定できるほか、検量線モードであらゆる魚の脂ののり具合を測定することができる。

   イワシなど魚の厚みが3センチメートル以下の小魚も測定でき、また冷凍後に解凍した魚を測定した場合には「解凍品」と表示されるので、「見極め」もできる。

   大和製衡はホームページで、「微弱な電流しか流さないので魚を傷める恐れがなく、無線通信機能によって測定値をパソコンに送信できるので魚の品質管理にも使える」と、商品の特長を説明する。

   たとえば、アジだと脂肪量が10%以上だと開きが向いていて、それ以下だとすり身が向いているなどと判断できるという。

   2015年12月5付の神戸新聞NEXTによると、「フィッシュアナライザ」は15年2月に1台約14万円で発売。これまでに300台以上が売れた。来春には対応魚種を増やす予定としている。

魚のブランド化が容易になる

   魚用品質状態判別装置「フィッシュアナライザ」について、インターネットでは、

「刺身はブリ最強説があるからな。でも養殖ものは脂っこくてダメだし天然物は素っ気ない。俺だけか......」
「脂のりは魚のうまさの決め手。買う前にわかるんなら、いいんじゃない」
「正月は刺し身三昧で子供のころは魚の脂がつらくて魚嫌いになった」

などと、魚の脂のりには多くの人にこだわりがあるようす。

   一方、

「機械で計らないとわからないのかwww」
「『このアジ、脂のってる?』『きのうのカツオだめだったよ。脂なくって』なんて、魚屋とのやり取りも消えるんだな」
「食べてみるまでわからないっていうのも、あっていいんじゃない」

といった声も少なからず寄せられている。

   消費者としては買うときに表示があれば、それを参考に買い物できるが、何から何まで機械任せでは「味けない」と感じているようだ。

   「フィッシュアナライザ」の開発がはじまったのは2010年8月このと。従来、魚の脂のりを調べるには、魚の身をすりつぶして脂を抽出して測るといった方法がとられ、測定時間に3~4時間かかっていたとされる。

   また、マグロの脂肪量は水揚げ時に、熟練のプロが選別用の包丁で刺して調べるのが一般的。そのため、水揚げするまでマグロの脂肪量はわからず、仲買人が買うまで脂のりの状態がわからないという不安がつきまとっていた。

   「フィッシュアナライザ」はそういった不安を解消し、すでにはじまっている脂肪含有量の高いマグロを選別してブランド化する取り組みを加速させる可能性や、養殖業者が魚を測定することで与えるエサの量や質を調節したり、出荷もよい魚を選別して「ブランド魚」として出荷できたりする。

   日本人の魚を見る目は、ますます厳しくチェックできることになるようだ。