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「新聞軽減税率」、テレビ各局「コメントなし」ずらり 新聞は「恥ずかしくて触れたくない」?

   2017年4月の消費税率の10%引き上げに伴い導入する軽減税率の適用対象に、酒類と外食を除く食品とともに、「宅配の新聞」が加わることになった。宅配であれば、一般紙だけでなく、機関紙もスポーツ紙も対象になる。

   ところが、そのことを肝心の新聞各紙は大きなスペースでは報じず、関係の深いテレビの情報番組なども時間を割くところは少ない。

  • 政府とメディアが歩み寄り? 「新聞」が軽減税率の適用対象に…
    政府とメディアが歩み寄り? 「新聞」が軽減税率の適用対象に…
  • 政府とメディアが歩み寄り? 「新聞」が軽減税率の適用対象に…

「報ステ」古舘氏も15日はだんまり

   新聞への軽減税率の適用については、新聞業界が政府・与党に強く働きかけてきた。日本新聞協会は2014年に、「今後の社会・文化の発展と読者の負担軽減のため、消費税に軽減税率を導入し、新聞の購読料に適用するよう求める」との特別決議を公表。また、作家らを動員した集会を主催したり、紙面で有識者に軽減税率の導入意義などを語らせたりと、キャンペーンを展開してきた。

   とはいえ、日ごろから「権力への監視役」を自負する新聞にとって、さすがに今回の「成果」を大々的に「バンザイ」とはいえないらしい。「なぜ新聞だけなのか」という批判には、納得できる答えがないからだ。

   軽減税率の適用対象が決まった2015年12月15日の夕刊も、日本経済新聞1面トップは「みなし課税 大企業にも」と、軽減税率については触れもしなかった。

   この日の朝刊1面で、外食の持ち帰りについて「8%」適用を報じた読売新聞だが、夕刊ではやはり外食のみ、触れるにとどまった。毎日新聞は1面トップで軽減税率の食品の「線引き」について報じたものの、新聞には触れずじまい。1面で報じたのは朝日新聞だけ。産経新聞は「宅配、週2回以上」の新聞が対象となり、書籍・雑誌は結論が先送りされたことを簡単に触れた。

   食品以外で軽減税率の適用対象に決まったのは「新聞」だけなのだから、本来であれば、もっと取り上げられてもよかったはず。もしかしたら、新聞各紙はこれには触れたくなかったのかもしれない。

フジは「新聞業界と政府与党の思惑が一致」と報道

   一方、新聞社と資本関係や協力関係のあるテレビ各局は対応が分かれた。 2015年12月15日夜のテレビ朝日系「報道ステーション」は、ニュースで新聞の軽減税率適用には触れたものの、古館伊知郎キャスターも朝日新聞のコメンテーターもダンマリを決め込んだ。日本テレビの16日朝の情報番組も、新聞への軽減税率の適用には触れなかった。

   これとは対照的に、フジテレビは16日朝の「とくダネ」が踏み込んだ。「販売部数の減少を避けたい新聞業界と、軽減税率制度への批判を抑えたい政府与党との思惑が一致した点もあるとみられる」と伝え、司会の小倉智昭氏が「おかしいよね、これも」と首を傾げた。

   番組内では、コメンテーターの深澤真紀(コラムニスト)が、「新聞だけが軽減税率になれば、新聞は政府側にならざるを得ない。軽減税率がプレッシャーをかける道具になりかねません」と、表情を曇らせた。

   新聞の軽減税率の適用には、じつは自民党内部からも異論がある。新聞が政党や支持団体の機関紙なども含まれることに対して、「国民の理解は得られない」との声がみられるという。

   インターネットには、

「さすがに恥ずかしくて報じられないだろwww」
「低所得者層はとっくに新聞とるのやめてるっつうの」
「テレビのコメンテーターども、とぼけた顔しやがって当たり障りないコメントばっかり」
「メディアはどこも都合のいい情報しか流さない。不利になることはふれないわけね」
「安倍政権とマスコミの癒着の成果が軽減税率」

といった、呆れぎみの声が寄せられている。