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野球賭博、「巨人VS産経」の様相に? 「スクープ連発」とその余波

   プロ野球・巨人の野球賭博問題に関する、フジサンケイグループの「スクープ3連発」がネットで注目を集めている。2016年3月14日朝5時配信のサンケイスポーツ電子版、元巨人投手・笠原将生氏の「独占インタビュー記事」を皮切りに、傘下メディアが続けざまに「特ダネ」を報じたのだ。

   サンスポ報道から遅れること1時間。14日朝6時の産経新聞電子版には、新たに野球賭博への関与が発覚した高木京介投手と関係者の「通話記録」が掲載された。さらに、同日発行の夕刊フジでは、日本野球機構(NPB)から「野球賭博常習者」と認定された「B氏」への独占インタビューが伝えられた。

  • サンケイグループ各紙が「特ダネ3連発」
    サンケイグループ各紙が「特ダネ3連発」
  • サンケイグループ各紙が「特ダネ3連発」

「一方、産経新聞は......」

   先陣を切ったのは、サンケイスポーツだった。15年10月に野球賭博への関与が発覚し、NPBから無期失格処分を受けた笠原氏への独占インタビューを配信。3時間に及ぶ取材で、球団内に蔓延していた賭博行為の実態を「スクープ」した。

   サンスポの記事で笠原氏は、巨人の選手が自チームの公式戦の勝敗に応じて金銭のやり取りをしていたことを新たに明かした。これは、選手らが試合前に現金を出し合い、勝利した場合は試合前の円陣で「声出し」を担当した選手が総取りするルール。試合に負けた場合は、声出しを行った選手が他の参加選手に現金を支払っていた。笠原氏によると、拠出金は1人当たり1000円スタートだが、連勝数に応じて3000円、5000円などと増額するシステムだったという。

   このスクープの続報は、サンスポ記事が配信されてから1時間後、朝6時に公開された産経新聞電子版で伝えられた。サンスポには記述のない「連勝していくごとに、どんどん金額が跳ね上がる。レートが上がりすぎて(わざと)打たないことも可能だった」という笠原氏の証言を掲載。金銭のやり取りが、「野球規約が禁じる『敗退行為』を招く恐れがある」とも指摘している。

   さらに、サンスポ報道を踏まえたような「一方、産経新聞は......」との書き出しで、高木投手と賭博関係者の「B氏」との通話記録を入手したことも伝えている。記事によると、試合結果に応じた金銭授受では1試合で「20万とか30万」もの額が動くことを、高木投手が話していたという。

   サンスポと産経のスクープ記事は、それぞれの3月14日付紙面でも一面トップで掲載されていた。

夕刊フジでは「B氏」独占インタビュー

   フジサンケイグループの「特ダネ」は、まだ終わらない。16年3月14日発行の夕刊フジ(C版)では、一面でB氏の独占インタビューを掲載。笠原氏や高木投手らの賭博相手とされる飲食店経営者の同氏に対する3時間の取材で、本人の胸中を伝えている。

   記事の冒頭で、B氏は「高木の会見や次の日報道を見て怒っている」と話す。具体的には、16年3月9日の会見で、高木投手がB氏を「怖い人」と表現したことや、メディアの報道でB氏が「容疑者」のような扱いを受けていることへの憤りだという。こうした扱いに対し、B氏は「今回の件で警察に呼ばれたことはない」などと反論している。

   今回のスクープ連発について、ネット上では、

「産経、凄いスクープを放り込んできたな」
「産経も巨人リークには全力傾けてたんやな」
「これは産経のスクープか。さて、読売はこれをどう報じるのか...」

といった声が相次いで上がっている。巨人とNPBが公式戦の勝敗に応じた金銭授受の事実を16年3月14日昼に認め(「敗退行為」は否定)、各紙がこの問題をウェブ版で報じているが、読売新聞ウェブ版では同日19時時点で今回の問題について報じていない。

   一方の巨人は、フジサンケイグループが「特ダネ」を報じる前日の16年3月13日、笠原氏とB氏が事実を歪曲した情報を新聞や週刊誌に持ち込んでいる、などとして、日本野球機構(NPB)へ緊急の対応を要請したと発表していた。

   J-CASTニュースは3月14日、今回の報道と13日の発表との関連について巨人に取材を申し入れたが、「広報部の人間が全員出払っているため、折り返し連絡する」と答えるのみで、14日19時時点で回答はなかった。