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「7年目で手取り11万円」給与明細が大反響 自動車整備士、国家資格で「この待遇?」

   自動車ディーラーの工場に整備士として7年務めたという静岡市在住の男性が、その給与明細の画像をツイッターに投稿して、悲惨すぎると話題になっている。少し前に騒ぎになった保育士や図書館員と同じレベルだと言うのだ。

   「一年目の整備士の給料ですご確認ください。車好きなら整備士になるのやめましょう」。きっかけは、自動車整備士になったばかりという人が2016年5月24日に自らの給与明細をアップしたとしてこうツイートしたことだ。

  • 給料が低くては、やってられない?(写真はイメージ)
    給料が低くては、やってられない?(写真はイメージ)
  • 給料が低くては、やってられない?(写真はイメージ)

整備士らの間で3000件リツイート

   アップ画像では、手取りの月給が14万円強になっていた。

   このツイートは整備士らの間で話題になったようで、現在は別のサービス業をしているという冒頭の男性は翌日、「多いほうやな」とツイッターで指摘。男性は、2015年まで7年間務めたディーラーの工場における自らの明細だとする画像を投稿した。そこには、手取りで11万円弱の給与が示されていたのだ。

   残業なしのときのものだが、ガソリン代を1万円弱引かれたという。

   このツイートも大きな反響を呼び、5月30日夕までに3000件ほどリツイートされた。

   次々に質問も出て、冒頭の男性は、「整備士は残業が無いと辛いです」「バイトの方がマシですよw」と自虐的につぶやいた。国家資格の整備士2級も持っているというが、手当は2000円だけだという。

   職場では、忙しくなる月末に残業があるものの、月初めに早く帰らされるため、結局、基本給しか支払われないことになるそうだ。

   これだけだと年収100万円強にしかならない。しかし、年2回のボーナスが1回20万円を超えることもあり、実家暮らしのため、なんとか生活していたと書いていた。

   男性は、退職金15万円をもらって、整備士を辞めた。給与が低いため、仲間も次々に辞めていったという。

統計調査では、平均年収43.5歳で375万円

   ツイッターなどでは、同じ整備士だとする人たちから前出の2人と同様な投稿が寄せられている。

   給与明細をアップして、「残業しーひんかったら 11万やで。笑 今月生きてかれへん ( ˊᵕˋ )」と告白する人がいたほか、手取りもバイト以下だとする人は、「残業しなかったら10万切るんだけどw おかしいいなぁ、整備士って国家資格なんじゃないの?」と疑問を投げかけていた。

   こうしたネット上の書き込みは、どこまで本当なのだろうか。

   整備士を雇う側の整備工場でつくる日本自動車整備振興会連合会は5月30日、J-CASTニュースの取材に事務局長が次のように話した。

「手取りの月給が10万円ほどというのは、あまりないケースだと思います。9万の加盟事業所のうち2万ほどを調査した統計では、整備士の平均年齢43.5歳で平均年収は375万円ぐらいになっています。しかし、ほかの仕事より給与が低いという話は出ているのは事実で、こちらも様々な人材確保対策を行っています。道路運送車両法の改正で規制が緩和され、異業種からの参入も増えて価格競争が起きていることが背景にあるのではないかと考えています」

   整備士の数は、10年前より半減し、整備工場の約半数で人手不足状態が続いている。若者がきつい仕事を敬遠し、車離れが進んでいることもあるという。

   国交省は、整備士の確保・育成に向けた検討会を設置し、4月15日に先進的な取り組みを事業所で共有するなどの対策をまとめた。また、厚労省では、外国人技能実習制度を4月から整備士も対象にするよう変えている。