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「ウサギ食文化復活の狼煙」にやっぱり出た 「やめろぉぉぉぉ」「カワイイのに」の声

   ウサギ食文化を日本で復活させたい。そんな思いから2016年10月16日に設立総会を開き、「全国ウサギネットワーク」が設立される。

   同ネットワークなどによると、ウサギを食材にするのは室町時代から続く伝統食文化だが、現在は飼育する農家は激減し、値段も100グラムが約350円と手に入れにくいものになってしまった。ヨーロッパでは当たり前に食べられていて、高たんぱく、低カロリーと栄養面に優れている。しかし、ネット上では「かわいそう」「うさぎは愛でる生き物」などといった意見が出る事になった。

  • ペット用のウサギと食用のウサギは大きな違いがある(写真はイメージ)
    ペット用のウサギと食用のウサギは大きな違いがある(写真はイメージ)
  • ペット用のウサギと食用のウサギは大きな違いがある(写真はイメージ)

香川大学の農学部で出された200食があっという間にぺロリ

   「全国ウサギネットワーク」設立の旗振り役になっているのは、動物栄養学が専門でウサギの研究を行っている香川大農学部の川崎淨教(きよのり)助教。J-CASTニュースが6月2日、川崎さんに今回の活動を始めたきっかけなどを聞くと、15年10月に秋田県で行われた食用ウサギの品評会「全国ジャンボうさぎフェスティバル」に出席した際に、食用ウサギ農家の学会やネットワークは海外では普通に存在するのに日本にはなく、農家の数も減り跡継ぎ問題も顕著化していると訴えられたそうだ。その後の活動で、ウサギを食べる伝統的食文化を守り、ウサギの肉の美味さと栄養価をもっと知ってもらうと、動物園や牧場、農家の関係者の協力によって設立が決まった。

   ウサギと聞くと、ペットショップで売っているような「ネザーランドドワーフ」「ホーランドロップ」などを連想しがちだが、食用ウサギは食用に改良を重ねてきた、体が非常に大きなもので、体重が8キロのものもある。日本では「ジャパニーズ・ホワイト(日本白ウサギ)」というブランドだ。かなり美味しいらしく、川崎さんは2年前から農学部の学祭で毎回200食を作り提供すると、「臭みが無くておいしい」とあっという間にさばけるそうだ。アンケートを取ると「また食べたい」という意見が圧倒的だが、肉の値段が問題だ。相場が100グラム350円と高く、海外では1キロ500円ほど。学生は「100グラム90円くらいだったら・・・」と残念そうだという。

ポイントの一つは「カワイイ」

   そんな「おいしい」ウサギを、どうして日本では食べなくなったのか。川崎さんは、

「食用ウサギは大きいですが、それでもカワイイんですよね。日本人の肉の好みは『サシを入れる』という言葉が表すように脂の乗った牛や豚になり、ウサギの肉が鳥に似ているならば鳥をたべればいいや、となったからだと思います」

と解説した。やはり「カワイイ」ということがポイントの一つにあるようだ。ネット上の声をみると、ウサギを「カワイイ」と感じている人が多いようで、今回のウサギ肉食の復活を目指すというニュースに対し、次のような意見が大量に出た。

   掲示板やツイッターには、

「やめろぉぉぉぉ うさぎは食べるな...愛でる生き物なんだ...」
「うさぎは可愛いし賢いし、牛とか安く売ってるのにわざわざ食わなくていいだろ野蛮」
「うさぎ飼ってたから無理だわ。流行ってないって事は日本では無理と思ってる人が多いからだと思うわ」

などといった「反対」意見だ。一方で、

「牛とか食ってるけどウサギだけは食べるな!という主張はさっぱりわからん。そんなこと言うたら肉食えん」
「ハガレンでうさぎ狩って食べてるシーン見て、ずっと食べてみてぇなとは思ってたし流通してほしいな」
「小鳥飼ってるけどからあげ好きだぞ。多分みんな食料は食料、ペットはペットで線引きできてると思うけど」

などといった「賛成」意見も結構ある。

「食文化の歴史的背景を知って理解して頂けたら」

   川崎さんは「反対」意見について、ヨーロッパでウサギ肉を食べる人たちは食用とペットについて完全な線引きが出来ている、とした。ペットでウサギを飼っている人が、別に食用を繁殖させ販売している人もいるくらいだそうだ。

「古来から続く日本のウサギ食文化を無くしてしまうのは、もったいないんですよね。ウサギは可愛いですが、食文化の歴史的背景を知って理解して頂けたらありがたいと思っています」

と語った。

   「全国ウサギネットワーク」は、秋田県で開かれる食用ウサギの品評会「全国ジャンボうさぎフェスティバル」の最終日である16年10月16日に、設立総会が開かれ設立される。