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選挙人名簿から私の名前が消されていた! なぜこんなことに

   2016年7月10日投開票の参議院議員選挙。東京都内に住む記者は、その期日前投票に赴いたが、「選挙権はあるのですが、投票できません」と言われた。投票はできなかった。

   自治体の選挙管理委員会から「投票所入場整理券」は届いたので、最初はわけがわからなかった。記者は20代後半で、これまで選挙の投票は欠かさずしてきたが、こんなことは初めてだ。何故なのか。記者の実体験からわかったこととは...。

  • 投票できなかった…
    投票できなかった…
  • 投票できなかった…

入場整理券は届いていたのに...

   今回の参院選では、期日前投票者数が1300万人を超えて過去最多となった。記者もその一人で、投票日は仕事があるため、7月9日、期日前投票所のある市庁舎に赴いた。

   宣誓書に氏名、生年月日など必要事項を記載し、係員に渡す。係員は本人確認のためにデータベースを検索しようとパソコンを操作し始めたところで異変が起きた。別の係員が駆けつけ、相談を始めた。困っている様子だ。

   駆けつけた係員とともに投票所の外に出て、説明を受けた。

「大変申し訳ありませんが...、選挙人名簿から登録が抹消されているため、ここで投票することはできません」

   どういうことか。記者は最近、都内のA市からB市に引っ越したのだが、引っ越し前後の居住自治体に提出する「転出届」と「転入届」に記載する「異動日」の日付が問題だった。

   転出地の選挙人名簿から登録抹消されるのは、「異動日」の4か月後。一方、転入地の選挙人名簿に新たに登録されるのは、「転入届提出日」の3か月後。抹消と登録とで、起算の基準日が異なる。

   記者が「異動日」に記載した日付は2月28日だったので、A市の選挙人名簿には6月28日まで登録されていた。参院選公示日である6月22日時点では、選挙人名簿に登録されていたので、投票所入場整理券は郵便局に住所変更届を出していたのでB市の自宅に届いたのだ。だが、実際に投票に行った7月9日時点では、A市の住所地での選挙人登録は抹消されていたわけだ。

救済措置がないのは「自業自得」

   実は、記者はB市への「転入届」を6月8日に出していた。そのため、B市の選挙人名簿に登録されるのは、3か月後の9月8日になる。一応、B市の選挙管理委員会に問い合わせたが、「選挙人名簿に名前はないですね」と言われた。当然だ。

   つまり、6月29日~9月7日の間は、転出地・転入地のどちらの自治体の選挙人名簿にも名前がなく、投票ができない。記者は憲法上選挙権は有しているが、選挙人として宙ぶらりんの状態になってしまっている。転出届を出してから、1か月を超えて転入届を出さないと、選挙人名簿上の空白期間が出るということだ。

   どうにかならないものかと、東京都選管にも尋ねてみたが、「う~ん、特に救済措置はないですね」との返答だった。記者は7月31日投開票の東京都知事選も、投票ができないことになる。

   そもそも転入届の提出は、新居移転から14日以内に行うよう定められている。記者はこの手続きを3か月以上放置してしまっていたので、自業自得である。

   行政手続きを怠ったツケが、こんな形で直接自分に跳ね返ってくるとは――。「法の不知はこれを許さず」という法諺(ほうげん)を、身を持って痛感した一日だった。