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小泉純一郎氏、自民都連にチクリ 「親族含む締め付け」に「驚くね」【都知事選2016】

   東京都知事選(2016年7月31日投開票)で、報道各社の情勢調査でリードが伝えられている元防衛相の小池百合子氏(64)。一方、元総務相の増田寛也氏(64)を推薦している自民党東京都連は、氏以外の候補者を応援した議員に処分をちらつかせて締め付けを強めている。だが、この強硬策は必ずしも奏功せず、現職の自民党議員や元党幹部などが小池氏の応援に入っている。

   そんな中、小泉純一郎元首相(74)が、都連の処分方針について「驚くね」と非難したという新聞コラムが掲載された。選挙戦終盤に向け、小泉氏の発言はどのような影響を及ぼすのか。増田氏陣営にとっては、気になる一言となりそうだ。

  • 小泉純一郎氏の発言は小池百合子氏(左)と増田寛也氏(右)の戦いにどう影響するのか
    小泉純一郎氏の発言は小池百合子氏(左)と増田寛也氏(右)の戦いにどう影響するのか
  • 小泉純一郎氏の発言は小池百合子氏(左)と増田寛也氏(右)の戦いにどう影響するのか

総務会長務めた笹川堯氏も小池氏を応援

   自民党東京都連が増田氏の擁立を正式に決めた7月11日、所属議員あてに出した文書が不興を買っている。文書は

「各級議員(親族等含む)が非推薦の候補を応援した場合は、党則並びに都連規約、賞罰規定に基づき、除名等の処分の対象になります」

などとして親族の行為も処分の対象に含めるという異例の内容だからだ。この「締め付け」の効果は不明で、例えば自民党の若狭勝衆院議員は「党が除名するというならしようがない」と、繰り返し小池氏の応援演説に立っている。これに加えて「ラストサンデー」の7月24日には、自民党総務会長を務めた笹川堯(たかし)氏が応援に入った。笹川氏の3男の博義氏は、自民党衆院議員(群馬3区)。

   小池氏をかつて環境相に起用した小泉元首相も、都連の方針には批判的だ。毎日新聞で山田孝男記者が連載しているコラム「風知草」(7月25日付朝刊)では、小泉氏の発言を、このように伝えている。

「たまたま、小泉純一郎元首相(74)と話した際、元首相が反応した。『あれ、なんだよ。オレが小池(百合子)さん応援したら、進次郎を除名するの? 驚くね。自由も、民主もないよ』」。

   ただし、小泉氏が小池氏の応援に回るというのは、あくまで仮定の話で、小池氏は7月6日に開いた出馬会見で、

「小泉(元)総理は、もう選挙には関わらないという風に、昨日(開かれた会見)もおっしゃっていたと思う。それよりも、私の友人たちで街頭演説等につきあってくださる方を、これからお願いをするところ」

と話していた。

舛添要一氏の選挙では「ラストサンデー」に応援演説していた

   注目されているのが安倍晋三首相の動向だ。閣僚や自民党の著名議員が続々と増田氏の応援に入るなか、まだ安倍首相は増田氏の応援演説に立っていない。7月23日に休暇先の山梨県から東京に戻ったばかりだ。

   14年2月の都知事選では、2月9日の投開票日を1週間後に控えた「ラストサンデー」の2月2日、安倍首相は自民党都連・公明党都本部が推薦していた舛添要一氏の応援演説に立っている。14年の都知事選は「保守分裂」ではなかったとは言え、今回の増田氏とは異なる対応だ。小池氏の勝利を織り込んでの対応ではないかと疑う声も出始めている。

   別の背景を指摘する声もある。16年7月10日投開票の参院選では、自民党は、接戦の10選挙区程度を「重点選挙区」と位置づけ、安倍首相が繰り返し応援に入った。だが、民進党の岡田克也代表は7月12日の常任幹事会で「自民の1勝9敗」と総括、安倍首相の応援が奏功しなかったことを指摘した。こういったことから、「安倍首相が応援演説に出ても勝てない」という見方も出ているようだ。