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女性はエッチなフェロモンを出すってホント?

   「おっ、イイ女だな~」と思わず振り返りたくなる女性がいる。容姿がキレイ、というよりも、何となく雰囲気に引き込まれるような......。

   そんな女性は、ちょうど体調がフェロモンをまき散らすピークに当たっているのかも。女性は誰でも毎月1度、フェロモンを出しているのだ。

  • オトコなんて、ちょろいものよ♪(イラスト・サカタルージ)
    オトコなんて、ちょろいものよ♪(イラスト・サカタルージ)
  • オトコなんて、ちょろいものよ♪(イラスト・サカタルージ)

「排卵期」の女子学生のTシャツに興奮する男たち

   女性の体には、生理前→生理中→生理後→排卵前→排卵期→生理前...というサイクルがある。このうち、「排卵期」になると妊娠しやすくなり、男性を誘うフェロモンを発することが様々な研究で明らかになっている。

   2011年、米フロリダ州立大学の心理学者、ソウル・ミラー教授は、女性の汗のニオイを男性にかがせる実験でそれを確かめた。11人の女性学生に新品のTシャツを配り、「排卵期」の3日間と、そうでない時期の3日間、ずっと着続けてもらった。その際、香水や化粧水などの使用は一切禁じ、ソープも無香性のものに限定した。

   そして、男子学生たちの2種類のTシャツのニオイをかがせて、「どちらの方が性的な気持ちの高まりを感じるか?」と尋ねた。すると、ほとんどの男子学生が「排卵期」のTシャツを選んだ。また、男子学生の血液を採取し、男性ホルモンのテストステロンの量を測ると、「排卵期」のTシャツをかいだ時の方が明らかに高かった。ニオイをかいで興奮したのである。

   ソウル・ミラー教授は「男性は、本能的に子孫を残せる相手を求めています。女性が妊娠しやすい時期にあることを臭覚で察知しているのです。女性も今の自分ならあなたの子どもを生めるわ~、とニオイでアピールできるフェロモンを排卵期になると放出すると考えられます」と語っている。

どんな女性もキレイに見せる媚薬フェロモン

   そのフェロモンとは「コピュリン」と呼ばれる物質だ。別の研究で、コピュリンをニオイがわからないほど薄めて男性にかがせる実験を行なった。複数の女性の写真を見せると、どの女性に対しても「魅力的だ」と答える男性が多かった。女性なら誰でもキレイに見えて評価が甘くなる効果があるのだ。コピュリンは最近、多くの香水に使われている。

   もっとユニークな方法でフェロモン効果を確かめた研究がある。

   2008年、米ニューメキシコ州立大学の心理学者、ジェフリー・ミラー教授は、プロのストリップダンサーが「排卵日」の期間中に最も多くのチップを稼ぐことを突きとめた。日本ではストリップショーというと、専用の劇場に出かけてコソコソ見るイメージがあるが、米国ではナイトクラブなどで男女の客が気軽に楽しむ。舞台のポールにまとわりついて踊るポールダンスもあれば、客の膝の上やテーブル上で踊るラップダンスもある。男性客が気に入ればダンサーにチップを渡す。そのチップが彼女たちの収入源になるわけだ。

プロのストリッパーが最もチップを稼ぐ体の周期

   ミラー教授は、地元の複数のナイトクラブで働くダンサーたちの協力を得て、ラップダンスから得るチップの額と彼女たちの排卵周期を照らし合わせ、相関関係にあることを発見した。彼女たちが一番稼ぐのは「排卵期」で、1時間当たり約70ドル(7420円)のチップを得ていたのに対し、月経期にはその半分の約35ドル(3710円)しか得ていなかった。そのどちらでもない時期は約50ドル(5300円)だった。やはり、妊娠可能の「排卵期」には、男性の心をそそる何らかのサインが出ていだのだ。

   また、ミラー教授はピル(経口避妊薬)の服用がチップ額に与える影響も調べた。結果はドンピシャリだった。ピルを服用しているダンサーは、全周期の平均で1時間あたり約37ドル(3920円)のチップを得ているのに対し、服用していない人は約53ドル(5620円)も稼いでいた。ピルを服用すると、妊娠中と同じホルモンバランスになるため、男性から見ると、ソノ気にさせる対象ではなくなるようだ。ピルを飲んでいるダンサーは、年間数千ドルも損をしていることになる。

   この結果についてミラー教授はこう語っている。

「ダンサーは男性客に対し、いつも最大限に魅力を売っているはずですが、体の周期によって微妙にニオイや表情、口調、ウエスト・ヒップ比、そしてダンスそのものまで変わってしまいます。男性客にもその微妙な差が伝わるのでしょう。どんなサービス産業でも、女性従業員に最大限のチップを獲得させたければ、排卵期に勤務時間を多く割り当てるようにするとよいでしょう」

   ちなみに、このダンサーのチップの調査は、人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究に与えられる「イグノーベル賞」(2008年度)を獲得している。