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「ミス慶應」サークルだけじゃない 未成年飲酒で「解散」「停止」続出の慶大

   「女子アナウンサーの登竜門」として知られてきた慶應大学三田祭の「ミス慶應コンテスト」が消滅の危機を迎えている。主催するサークル「広告学研究会」が未成年飲酒に関する不祥事を起こし、大学側から解散を命じられて16年のコンテストの中止が発表された。

   この団体は2009年にも公然わいせつをめぐる不祥事を起こし、翌年のコンテストが中止されたという経緯がある。これに加えて、12年と13年には慶大生が飲酒をめぐる事故で死亡。大学側は未成年飲酒に対して厳しい態度で臨んでおり、ここ2年で、今回のサークル以外に3サークルが未成年飲酒で解散や無期限活動停止の処分を受けている。いわば多数の「イエローカード」が出ている中での新たな不祥事で、ついに「レッドカード」が出た。

  • 慶大三田キャンパスの福澤諭吉像。未成年飲酒をめぐる不祥事が相次いでいる
    慶大三田キャンパスの福澤諭吉像。未成年飲酒をめぐる不祥事が相次いでいる
  • 慶大三田キャンパスの福澤諭吉像。未成年飲酒をめぐる不祥事が相次いでいる
  • 2016年の「ミス慶應コンテスト」中止を知らせる主催者のツイート。未成年の飲酒が主な原因で「広告学研究会」が大学側から解散を命じられた

2009年「日吉駅全裸疾走事案」も影響か

   慶大は2016年10月4日、清家篤塾長名の「告示」で、同日付で広告研究会に解散を命じた。「告示」によると、9月2日に宿泊先で行った懇親会で複数の未成年者が飲酒。この懇親会では、

「互いを指名して飲酒するよう囃(はや)し立てる、或いはゲームの勝敗により酒を呷(あお)る等の危険な行為」

が確認されたとしている。「告示」では、

「過去にも問題を繰り返し惹起しており、大学はその都度指導に当たってきました」

などとして「前科」も加味した上で解散を命じたことを示唆している。この「前科」は、09年の「日吉駅全裸疾走事案」のことを指すとみられる。09年9月20日午前4時15分頃、メンバーの男子学生9人が東急東横線日吉駅(横浜市港北区)に隣接する商店街から駅構内にかけて数十メートルを全裸で疾走し、女子学生1人が、その様子をビデオ撮影するなどしたとされる。9人は当初、大人用紙おむつをはいて局部を露出した上で駅周辺を走り回っていたが、これがエスカレートして全裸になったとみられている。09年10月になって神奈川県警港北署などが10人を公然わいせつ容疑で書類送検し、大学側も「けん責」処分にした。この影響で、10年の「ミス慶應」は中止になった。

   こういった中での不祥事の再発で、大学側は

「団体の体質、運営実態が極めて不適当であることは明白」

だと断じている。

サッカー、テニス両サークルも「解散」

   慶大のサークルでは、12年6月と13年2月に学生が急性アルコール中毒で死亡する事故が起きている。2件とも死亡したのは成人だったが、大学側はサークルの飲酒、とりわけ未成年の飲酒に厳しく臨むようになった。

   15年1月30日は、未成年の飲酒などを理由に、サッカーサークルとテニスサークルに解散を命じている。

   サッカーサークルは、14年12月20日から21日にかけて宿泊していた施設で、泥酔した一部メンバーが「無関係の同宿舎の部屋に侵入し、そのまま寝込むという事態」を起こし、「宿舎の共有部分で騒ぎ立てる、備品を破損する、嘔吐により施設を汚損する」といった行為が多数あった。これに加えて、未成年メンバー6人が飲酒し、「イッキ飲み、コールによる飲酒」があったことも判明している、としている。

ダンスサークルは「無期限活動停止」

   テニスサークルの事案では、14年11月21日、三田祭の準備のためにキャンパスを訪れていたメンバーが「学外の不適切な場所で飲酒」のうえキャンパスに戻り、そのうち未成年者1人が急性アルコール中毒で救急車で搬送。一命は取り留めたが「極めて危険な状態」だったことが医師の診断で明らかになったという。「当人による自発的な大量の飲酒」が要因だったが、サークルの責任者や年長者がそれを制止しなかったり、同席者がすぐに救急車を呼ばなかったりしたことも問題視された。

   15年10月16日には、ダンスサークルに無期限活動停止の処分がくだっている。ダンスサークルのメンバー18人は、15年7月30日に神奈川県藤沢市内の海水浴場で懇親会を行った。その際未成年メンバー3人が飲酒し、そのうち1人が急性アルコール中毒で救急車で搬送された。命に別状はなかったが、「泥酔して暴れたうえ意識を喪失する、危険な状態」だったことが報告されている、とした。

   こういった処分は、ウェブサイトやキャンパス内の掲示板で公表される。広告研究会のメンバーは、他サークルに対するこうした処分を知りうる立場にありながら、今回の不祥事を引き起こしたことになる。