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英ポンド大荒れ、FX投資家「なんじゃこりゃあああ」 原因めぐり飛び交う憶測

   東京外国為替市場は2016年10月7日朝、英ポンドが「大荒れ」だった。

   マーケットでは俗に「殺人通貨」の異名をとる「ポンド」。その値動きの荒さが外国為替証拠金(FX)取引をするデイトレーダーらには人気だが、いわゆるサラリーマン投資家にはまさに「瞬殺」だったようだ。

  • 英ポンドが原因不明の暴落、「殺人通貨」の本領発揮?
    英ポンドが原因不明の暴落、「殺人通貨」の本領発揮?
  • 英ポンドが原因不明の暴落、「殺人通貨」の本領発揮?

わずか1分間に6%暴落も、7分後3.5%戻す大混乱

   英ポンドは凄まじい勢いで売り浴びせられ、2016年10月7日8時7分にポンド・米ドルは1.26ドルを割り込み、その1分後には1.19ドルまで暴落。「わずか1分間に、6%も下げたことになります」と、外為どっとコム総合研究所調査部長・上席研究員の神田卓也氏は驚く。

   それだけではなかった。「(暴落後)7、8分かけて3.5%も値を戻しました」。わずか10分足らずのうちに暴落して急騰したのだから、FXに投資する個人投資家が太刀打ちできるはずがない。8時20分ごろには、1.24ドル台の水準まで値を戻した。

   ポンド・円も1ポンド131円を割ると、123円台前半まで暴落。4年ぶりの安値をつけた。しかし、すぐに切り返して、1ポンド129円台まで回復した。英国が国民投票で欧州連合(EU)の離脱を決めた16年6月以来の大幅な下げで、市場はまさに大混乱状態になった。

   一般に、ポンド取引は値幅が大きい(値動きが荒い)ことが人気で、デイトレーダーらが好む半面、FX取引の経験の浅い個人投資家には不向きとされている。ドル取引に比べると全体的な取引量も少ない。

   とはいえ、「ちょうど取引が薄い時間帯で起こったので、個人投資家が対応できるような状態ではなかったと思います。そのため、多くのロスカット(損切り)が起りました」と、神田氏はみている。

   インターネットには、

「なんじゃこりゃあああ。気づいたら、終わっとるやんけ」
「ポンド円で一喜一憂。地獄に落ちた方々... 残念でしたね。でもいい思いしてきたんだから、しゃーないねwww」
「うわあああ~~~~ たのむ止まれ」
「『殺人通貨』ってこーゆーことなんか......」

と、泣いている個人投資家は少なくないもようだ。

   しかし、なかには

「さっきのポンド下落、少しハイエナして利食いw」
「これ、利益出てるからつぶやけるけど、逆にポンド円ロングで持ってたら真っ青でつぶやいてる場合じゃないよな... たぶん会社行けてないわ」

と、ちょっとでも儲けた個人投資家がいないわけではないようだ。

FT報道、誤発注、アルゴリズム... どれも推測の域?

   ポンド相場の突然の暴落と急騰。その原因はいったいなんだったのだろうか――。前出の外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏は、「それがはっきりしたことは、わかりません」と話す。

   「『英国はEU離脱の報いを受ける必要がある』とのフランスのオランド大統領の発言を、英紙フィナンシャル・タイムズが報じたことが原因する向きもありますが、これまでも同じような発言がありましたから、常識的に考えるとそれ(発言)がポンと急落を招いたとは考えづらい。また、誤発注のような人為的なミスも最近はシステムの精度がかなり上がっていますから、これも考えづらいですね」。さらには、コンピューターによるアルゴリズム取引がポンド売りを誘発したとの指摘もあるが、どれも推測の域を脱しないようだ。

   ポンド売りの材料が見当たらないなか、「ただ一つだけ言えることがあります」と続ける。「買いポジションを持っていた人の損失が進み、ロスカットが相次いだことで下げ幅が急速に拡大した」とみている。

   英国のEU離脱問題もあり、なお下げやすい環境にあることは間違いない。そのため、「長期間の買いポジションを持ち続けるのはリスクが高いとはいえます」と話す。