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【女の相談室】体重増減の繰り返しは超危険 肥満よりも心臓突然死招きやすい

   「ヨーヨーダイエット」という言葉があるのはご存じだろうか。ダイエットとリバウンドを繰り返し、ヨーヨーが上下するように体重が減ったり増えたりすることだ。

   多くの女性が経験するが、このパターン繰り返すと、肥満の人より心臓に強いダメージを与え、高齢になると、突然心臓死のリスクが3.5倍に高まることが最新研究で明らかになった。

  • 体重の変化はゆっくりと
    体重の変化はゆっくりと
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「ヨーヨーダイエット」は命取り

   この研究をまとめたのは、米ロードアイランド記念病院のソムウエル・ラッソーラ医師らのチームだ。2016年11月15日に開かれた米国心臓協会の年次集会で発表した。

   その報告を報道した米の健康ニュースサイト「HealthDay News」(2016年11月17日付)によると、研究チームは、米国の健康データに登録されている閉経後の女性約15万8000人の記録から、体重の変化と心臓病との関係を調べた。ラッソラ医師らは対象者を、体重の変化の聞き取り調査から次の4つのグループに分け、11年間にわたって追跡し、

(1)成人後から現在にいたるまで、10ポンド(4.5キロ)以上の増減がなく、体重が安定している(安定型)。
(2)成人後から10ポンド以上増え、着実に体重が増加している(肥満型)。
(3)10ポンド以上の減量に成功し維持している(やせ型)。
(4)変動幅が10ポンド以上の体重の増減を繰り返している(ヨーヨー型)。

   追跡期間中に約2500人が心臓病で亡くなり、うち83人が心筋梗塞などの突然心臓死だった。分析の結果、心臓病で死亡するリスクが最も低いのは安定型だった。無理にダイエットなどせずに体重を一定に保っておくことが大切なようだ。逆に死亡リスクが一番高いのは、肥満型ではなくヨーヨー型だった。一番低い安定型の人に比べ、66%も高かった。

   さらに、心臓突然死のリスクもヨーヨー型が一番高く、一番低い安定型の3.5倍に達した。意外なことに肥満型とやせ型は突然死のリスクはほとんど変わらなかった。ヨーヨー型だけが、心臓に強いダメージを与え、突出して突然死する人が多かったのだ。

リバウンドを繰り返すと脂肪だけが蓄積されていく

   今回の報告では、なぜ体重を上下させるヨーヨー型が深刻な心臓障害を引き起こすのか、因果関係を説明していない。ラッソラ医師は「HealthDay News」の取材に対し、こう語っている。

「今のところ、安定した体重を維持することが女性の健康にとって最良であるとしか言えません」

   一方、この報告を聞いたワシントン大学の栄養学の専門家コニー・ディックマン氏は、「HealthDay News」の取材にこう語っている。

「この研究の最大の価値は、体重を減らす、増やす、失う、獲得する、といった体重循環が健康に非常に悪いという当たり前の指摘だ。健康的な体重を維持したければ、クラッシュダイエット(急激な体重減少)などの迅速な変化を求めず、ライフスタイル全体を見直して少しずつ変えていくことだ」

   それにしても、リバウンドの繰り返しがなぜ、体に良くないのか。日本の専門医の指摘はこうだ。2016年10月17日に放送された「主治医が見つかる診療所」(テレビ東京系)で、過激な運動で心臓に異常な数値が出たお笑いコンビ「ノンスタイル」の井上裕介に、上山博康医師がこうアドバイスした。

「ダイエットでリバウンドを繰り返すと、筋肉が減って脂肪だけが蓄積されていくのです。筋肉と脂肪が置き換わり、脂肪が燃焼されにくい体質になってしまいます。過激な運動や食事制限はやめて、長続きするダイエットで、リバウンドしないようにしないといけません」