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AIで国会答弁下書き実験 だったら、官僚も議員も置き換えちゃえば

   官僚の事務負担を減らそうと、国会答弁の下書きなどに人工知能(AI)を使うことを政府がまじめに検討している。

   ただ、AIでできるのなら、官僚も議員も置き換えちゃえばいい、という声も聞こえてくる。

  • 国会もAIに置き換えられる??
    国会もAIに置き換えられる??
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1800万円かけて過去5年分を「学習」

「結構面白い取り組みだと思うな」
「過去答弁との整合性をチエックしやすいからよい」

   政府がAIを使った実証実験を経産省で始めると日経新聞などが2016年12月5日に報じると、ネット掲示板などでは、評価する声も上がった。

   経産省の情報プロジェクト室によると、実験では、AIに国会審議の議事録を過去5年間にわたって学習させる。そして、議員から実際あった質問か想定される質問かどちらかの文章をAIに入力する。すると、AIはその文章からキーワードを拾って関連する過去の質疑を探し、それらをもとに答弁の下書きを作る。職員は、それを手直しして、答弁を仕上げるという段取りだ。

   野村総合研究所に委託し、約1800万円をかけて17年3月まで実験を行う。AIで作った答弁は、実験段階なので、実際の答弁には使わないという。ここで一定の成果があれば、4月以降は、議事録にはない新しい政策内容を入力して答弁の下書きを作ったり、省庁全体でAI導入を進めたりすることも検討している。

「野党が仕事をしていないと証明するに近い」

   各省庁では、議員からの質問通告に備えて、深夜まで待機をすることが多いとされる。これに対し、政府は「働き方改革」を進めており、世耕弘成経産相は、11月8日の閣議後会見で、官僚がITを活用して自宅で国会答弁作りをするテレワークを始めると明らかにした。今回のAI導入への動きも、働き方改革の一環だ。

   ただ、AI導入を懸念する識者もいる。東洋大学の山田肇教授(情報政策論)は、言論サイト「アゴラ」の12月6日付投稿で、「決まりきった質問に決まりきった答弁が大半であれば、実証実験は成功する可能性がある。しかし、それは国会議員、特に野党が仕事をしていないと証明するに近いことだ」と指摘した。

   ネット上でも、「国会議員の質問をAIで作って議員減らせよ」「いずれは法案もAIに草案を作ってもらえば」「国会議員もAIでいいし行政もAIでいいよ」などと皮肉めいた意見が多くなっている。