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サッポロ新CM、まるで「SEALDs」 シュプレヒコールにプラカード...

   サッポロビールの新CMに登場するキャラクターたちが、2016年8月に解散した学生団体「SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)」の「パロディー」に見えると、インターネット掲示板などで話題となっている。

   このCMの放送が開始されたのは、新春恒例の大学駅伝「東京箱根間往復大学駅伝」が行われていた2017年1月2日。ことしで93度目を迎える同大会に1987年からずっと協賛企業として関わってきたのが、サッポロビールだった。白熱したレースの合間、繰り返し流れたこのCMは、お茶の間の目にしっかりと焼き付いたようだ。

  • CMの一場面。「バンザイ!ごはんに自由を!」などのプラカードが掲げられ、中央の男性がラップ調コールで扇動する。
    CMの一場面。「バンザイ!ごはんに自由を!」などのプラカードが掲げられ、中央の男性がラップ調コールで扇動する。
  • CMの一場面。「バンザイ!ごはんに自由を!」などのプラカードが掲げられ、中央の男性がラップ調コールで扇動する。
  • 「SEALDs」の元メンバーたち。中央は、「SEALDs」を代表する人物だった奥田愛基さん(2015年9月16日撮影)

箱根駅伝の中継の合間に流れて注目

   問題となっているのは、ノンアルコールビール「SAPPORO+(サッポロプラス)」のテレビCM「集え!ごはん党」編。「SAPPORO+」のリニューアルに伴い、2017年1月2日に放送開始された。

   物語は男性が自宅で独り、「きょうもサラダかー」とため息をつく場面から始まる。この男性がテレビを付けると、映し出されたのは「ウェーイ」と大歓声を挙げる若者たちの一群。隣のリポーターらしき女性に「今話題のごはん党の皆さんです」と紹介された彼らは、白地の上に「KATSUDON」「CHAHAN」などと書かれたTシャツを着ている。後方からは「I ラブ(ハートマーク)RICE」というプラカードが見え隠れする。

   すると突然、男性の目の前に若者たちが姿を現した。「今、ごはん我慢してました?」。中央でマイクを握りしめる若い男は男性にそう問いかけ、「ごはんを我慢する世の中でいいのか!」と大声を上げる。若者たちは「良くなーい!」と呼応し、彼らはラップ調の「シュプレヒコール」を始めた。

   「ごはんにプラス!」「サッポロプラス」「ごはんにプラス!」「サッポロプラス」。DJの流す重低音に体を揺らし、彼らは「コール&レスポンス」を続け、最後は「SAPPORO+」を勧められた男性が一口味わい、「いいかも」と言って幕を閉じる。

   共通のTシャツを着用し、プラカードで自らの考えを主張し、ラップ調のコールで聴衆に訴えかける。何から何まで、安全保障法制に反対する抗議活動で世間の耳目を集めた学生団体「SEALDs(シールズ)」を彷彿とさせる。2日にCMが解禁されると、ツイッターなどでは「サッポロの新CM SEALDsパロディー」「俺もこのCM観て、SEALDsが頭を過ぎったんだよなあ...笑」という声が上がり始めた。

サッポロビール「(『SEALDs』を)意図したものではない」

   「SEALDs」は2015年5月、安倍内閣の政権運営に異議を唱える首都圏の大学生たちで結成された。安全保障関連法や特定秘密保護法など、安倍政権の進める政策に反対し、国会議事堂前で抗議デモを行った。「戦争法案反対!」「PEACE NOT WAR」「#本当に止める」のプラカードを掲げ、「安倍はやめろ!」「国民なめんな!」「戦争法案絶対反対!」と叫ぶ様は、メディアにもこぞって取り上げられたが、政権運営に影響を与えるとまではいかず。2016年8月15日、「戦後71年の節目をもって解散します」と解散を発表した。

   当時「SEALDs」の活動に励んでいたメンバーの目には、このCMはどう映ったのか。現在もツイッターアカウントで政治的主張を続けているメンバーの中には、

「これね。SEALDsを意識してるんじゃないか?と言われているCM」
「内容はまるで無意味だがCMではっきり模倣されるってすごいな」
「Tシャツとプラカードがダサい」
「プロの広告屋がシールズを元ネタにする新年か」

と反応する声があった。

   だが一方、彼らと政治的主張を異にするネット掲示板のユーザーからは、

「自意識過剰」
「馬鹿にされてんなw」
「安心しろ、こんなにイケメンじゃない」
「バカにされてるって思わないのがすごいな」

と皮肉る声も上がっている。

   サッポロホールディングスの広報担当者はJ-CASTニュースの取材に対し、

「CMは(『SEALDs』を)意図したものではない」

と話す。

「ごはんが大好きな人に楽しんでメッセージを伝えたかった。(ごはん党のメンバーが男性の自宅に押し掛ける演出は)従来のドッキリ番組の手法に着想を得たもの」

と語っている。似てしまったのはあくまで偶然ということのようだ。